紅狼

□第四訓
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「え…休暇、ですか?」

「あァ、近藤さんからの指示だ」


朝一から副長室に呼ばれたかと思ったら、今日は休暇だって言われる始末。
…というか、あれ?今日は確か…。


「ちょ、待ってください!今日は確か、幕府の重鎮の警護だったはず………ッ近藤さんに直談判してきます!」



冗談じゃない

今日はカエル(?)の警護をする日。
近藤さん、ましてや土方さんが行くのに、副長補佐である私が休暇なんてッ。

立ち上がる私を諫めるように土方さんに呼び止められる。


「テメェは最近、働きすぎだ………昨日もぶっ倒れただろーが」

「そ、それは………ッ」


確かに、昨日は疲れが溜まっていたのか、見廻りから帰って来た途端に屯所の門の所で倒れそうになったところを土方さんが支えてくれた。
おまけに熱も出ていた。
でも、今日の朝にすっかり熱はひいていて調子もいいのに…。

不服そうにする私に土方さんはため息交じりの穏やかな笑みを浮かべる。


「ちったァ休め、何もお前が役に立たねぇとかじゃねェ……ただお前の事が心配なだけだ」

「…ッ」

「今日は俺等に任せろ、寝るなりハメ外すなりしろ、いいな?」

「…………はい」


土方さんの圧に自然と頷いていた



***



名前の足音が遠ざかるのを見計らい、土方はため息をつく。


「ったく、アイツをちったァ見習え総悟」

「アレ、ばれてやしたか」


ヒョコッと天井板を外し、顔を出す沖田。
普段の名前ならば沖田の気配も容易にわかるはずだが…。それを分からなかったとみるに、きっと今も万全の状態では無いのだろう。
いつも健気に仕事をしてくれる名前に、土方は心中で感謝をした。


「ったく名前は仕事熱心すぎるんでィ、少しはハメ外さねェとやってけないってもんでさァ」

「お前は外しまくりだけどなっ!!」




***



「うーん…」



部屋の中央で正座をし、腕を組む。


副長室からとりあえず帰ってきたが…休日って何をすればいいんだろう。
とりあえず、隊服から普段着に着替えた。
いつもの休日だったら、土方さんと定食屋に行ったり、総悟と甘味処に行ったりくらいだ。

だが、今日は二人はいない。


「んー……………ッ」



………散歩でもするか。





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