@部活
「マネージャーのルルーシュ・ランペルージです。よろしく。」
大会荒らしと中学の頃から巷で有名だった僕。入学早々結構な勧誘があったにも関わらず僕があえてバスケ部を選んだ理由、それが彼女だった。
にこりと笑った顔なんて本当に天使みたい。ううん、それ以上だ。
だから驚いた。その豹変ぶりに、本当に、心から。
「枢木!何簡単に抜かれてんだ!やる気あんのか!?」
「す、すいませ…」
「謝ってる暇があったら走れ!」
「は、はいぃぃ!!!」
軽い気持ちで入部してから、毎日が地獄だった。一日に何回ぶっ倒れたかはもはや覚えていない。
それでもなんとか続けてこれたのは、時折差し延べてくれる彼女の手が暖かくて、いいにおいがするから。ま、そのあと直ぐに悪魔みたいな笑顔で有り得ないメニューをやらされるんだけど。
「おい、スザク。」
ある日の帰り道、入部してから初めてまともにルルーシュ先輩に話しかけられた僕は慌てふためいた。
「は、はい!」
「一年で俺の練習について来るなんて、なかなか見所があるなお前。気に入ったぞ。」
しかもいつもみたいに怒気を含んだ言い方じゃないなんて、おまけに僕のこと気に入っただなんて、正に奇跡だ。
「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」
「期待してるからな。頑張れよ。」
ふんわり笑みを浮かべて僕の肩を叩いた彼女。その距離わずか15センチ。うわ、いいにおい。なんか頭がくらくらしてきた。これはもう言うしかない。言ってしまうしかない。
「先輩!きっと期待に応えてみせますから、僕の彼女になって下さい!」
「…インターハイ、連れて行ってくれたら考えてやるぞ?」
「マジですか!?」
練習、頑張ってきて良かった!サボりたい気持ちを何とか堪えてそれからも懸命に練習に励んだ。
「アイツ馬鹿よねー。いいように使われてるだけじゃない。インターハイ出れても考えるってだけだしね。正直考えるって何も起こらないからね。今と一緒だからね。」
「ちょっとカレン!スザクに聞こえてしまいますよ!」
隣で女バスにこんなこと言われてるなんて、はりきりすぎて過呼吸で倒れてるおめでたい僕は知らないのである。
純情マゾヒスト
(おいそこ!サボるな!)(は、はいぃぃ!)