neta帳
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・やたら長い
・名前は―――で表している(数回しか登場しない)
・最早ネタを超えて短編
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"火拳のエースを捕縛した"
その報せが海軍本部に届いたのは今朝早くの事だった。
「………来た」
暗い部屋の中に響く、ボソリと呟く声。
その声の主――"正義"を羽織った女は、27という若さで異例の昇進を果たした准将であった。
7歳の頃に彼女の住む島に来たガープに半ば無理やり弟子入りし、その厳しい修行に着いていく事15年。
22で海軍に入ってからは、数千万から億超えまで50や100では収まらない数の海賊を捕縛したその功績から本人は元よりガープの評判にまで影響を及ぼした。
「…ずっと前から、決めてたこと。揺らがない。揺るがない。後悔さえも、しない」
女が自らに言い聞かせる言葉が、部屋の静寂を破る。
決意は、揺らがない、と。
この気持ちは、揺るがない、と。
結末に、後悔はしない、と。
何かを耐えるように握り締められた女の手から、ポタリ、と滴る音がした。
* * * * * *
「麦わらを、処刑台に近付けるなぁ〜〜!!」
怒号、悲鳴、怒り、苦しみ、決意と後悔。
海軍本部、マリンフォードが"白ひげ海賊団"と自らの組織の血で赤く染まる。
麦わらのルフィが、火拳のエースを解放する――その光景を見た女が、羽織った"正義"を払い落として駆け出す。
――剣も持たず、その身一つで。
* * * * *
「貴様…一体どういうつもりじゃ!!!」
海軍大将、赤犬の怒号が戦場に響く。
「私は…もとも、と、このために、いたのですよ…」
途切れ途切れに返す女の声。
その後ろには、現状が理解出来ずに固まっているエースとルフィの姿。
「…逃げな、さい。…そう、長くは持ちません」
鈍色に輝く女の腕は自身を貫く赤犬の腕を掴み、動きを止めさせていた。
「な、んで………」
呆然と言葉を紡ぐエースに、女が薄く笑う。
「いいから、ほら…お迎えだよ」
エース!!
女の声に集中していたエースの耳に飛び込んできたのは、愛すべき家族の声で。
「ばいばい…えーす、るふぃ」
そう言った女の声に何故か懐かしさを覚えて振り返ろうとしても、もう遅かった。
一瞬で遠ざかる中辛うじて見えたのは、どこか見覚えのあるような気がする、優しく慈愛に満ちた笑顔だけだった。
* * * * * *
ルフィが治療の為に帽子のルーキー――トラファルガー・ローに連れて行かれ、エースは家族にもみくちゃにされていた。
戦死者は、決して0ではない。だが、白ひげも、エースも――今はいないが、サッチも生きている。
よかった、なんて嘘でも言えない。
心中には自責と悔恨が渦巻いていて、あの女への疑問も残っていた。
けれど、今は――今だけはオヤジが無事だった事を、皆の助けを無駄にせずに済んだ自身の命を喜ぼう、とその思い達を胸にしまい込んだ。
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「エーズゥ…っ!!」
ぐしゃぐしゃの顔でモビーに現れたのは、治療の為にトラファルガー・ローと共にいたはずのルフィで。
エースが慌ててルフィの元へ駆け寄れば、ルフィが泣きながら口を開く。
「エーズ…ッおれらをだずけてぐれたの、―――だ…っおれ!おれたずげられだのにッ!気付いてもやれなかっだ!!!」
ルフィの言った言葉に。
ルフィの言った名前に。
幼い頃が一瞬で思い返された。
サボと、ルフィと、俺と。
三人が揃っていた頃に二週間だけ傍にいた、ガープが連れてきた年上の女(ひと)。
持ち前の優しさで、年上の穏やかさで、そして長年の努力の強さで、俺達を守り、包み、導いてくれた、大事な人。
大切な想い出で、大切な人で、だけどそれは時と共に緩やかに風化されて行って、とうとう俺は気付きもしなかった。
胸に訴えかける懐かしさも、既視感を告げる笑顔も、全部俺に伝えていたのに。
大事な人に助けられて、感謝するどころか気付くことさえできなかった。
あんなにも、おれはあの女(ひと)に救ってもらったのに――
「あ…ぁ、―――、ごめん、――――…っ!!ごめんな―――、…ッうあ゙ぁぁァぁぁ…っ!!!!」
「―――〜〜〜〜〜ッッ!!!」
―――救われた彼らの慟哭は、天まで響くほど悲痛で―――
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やたら長いしこれはネタと言えるのだろうか…()
ネタのつもりで書いていたのですが…妙に指が動いたもので(((
確実にエピソード・オブ・サボの影響ですね。
補足としては有知識転生年上ヒロインは生前?からONE PIECEが大好きでその中でもエース達盃兄弟が好きだった。
自分が転生した世界がONE PIECEだと気付いてからは原作のどこらへんかを確認して必死に自己鍛錬。ある日島に来たガープさんを見て迷わず弟子入りを決意。18ぐらい?にダダンのところに二週間滞在。盃兄弟に懐かれて…と言ったところ。
やっぱり救われない話が好きな管理人です。
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帰り道「main」
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