episode
□狂想曲 9
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何故ここに彼がいるのだろう
少年探偵団の相手をしながらも
頭の中はそればかり考えていた
私からは一言も今日のことは伝えていない
だいたい想像はついている
少年探偵団は彼とは知り合いみたいなので、学校帰りか遊びに行く途中に彼に話したのだろう
私に興味を持った彼が、自分から引率を志願した
という想像
私のために計画を立ててくれていたらしい
東都タワーはもちろん、主要の駅やショッピングモールの説明もしてくれる
しかし
いつもは5人なのに、今日は3人だけ
眼鏡の子と知的そうな女の子が来ていない
他に予定でもあったのか
それとも興味がなかったか
まあ、どうでもいいか
次の目的地は、最近完成したばかりのベルツリータワーらしい
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ベルツリータワーに着くまでは、他愛のない会話をした
海外についての質問が子どもたちから出たので、オーソドックスなアメリカの話を選んだ
わかりやすい話で盛り上げようと思い、
ハンバーガーばかり食べてる
金髪がとっても羨ましい
何をするにもスケールが壮大
など、経験してきたことを面白く話せば、わーきゃー言って楽しんでくれる
こんなの初めてだしなんだか嬉しい
そうこうしているうちに、ベルツリータワーの展望台に到着した
『うわ〜高い高い〜!』
あ、少し子どもな部分が出てしまった
と思い返しても遅かった
ちらっと後ろを見ると満面の笑みの安室さん
ちょっと恥ずかしい
皆にはまだ19歳だとは気づかれていないのに
「風がない日で良かったですね!」
「うん!風強かったら展望台に上がれないもん!」
『そうなの?』
「ここは地上からかなり高い場所ですので、鉄の塔と言えどやはり強風の日は揺れるんですよ」
『へーそうなんですね!私、運が良かったのね〜』
安室さんが、わかりやすく説明してくれた