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□狂想曲 15
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─────まずい





彼女の反応は早かった

背にしていた砂袋が落ちる、その音が聞こえるや否や、既に彼女の足はその場から駆け出していた




「んだてめぇ!!!!」




アレスもまた、何者かが駆ける音と
その者が角を曲がって走り去る様を見つけるや否や追いかける




自分の土地勘を恨む

何せよく知らない都会の地の路地裏
自分が今何処にいるのか、何処に向かえば大通りに出られるのかも分からない

というより逃げるのに必死で頭が回らない
酸素が足ばかりに使われているかのように─────









「待てこらァ!!!!」






アレスの張り上げた声が聞こえる


銃声も同時に聞こえる


次の瞬間には、自分の右の上腕に痛みが走る




アレスがどうやら発砲したらしい
ところ構わず銃を打ち鳴らす癖はまだ治ってはいないか

銃弾が掠めただけの腕は、血は出ているものの足が止まるほどの傷ではない

打たれた時が道を曲がるタイミングでよかった
運が悪ければ背中を容易に撃ち抜かれていただろう




しかし相手はあの男

足音がだんだん大きくなっているのが分かる
捕まってしまえば自分がどうなるかなんて言ってしまわなくとも既知だ
きっと奴の前に引き出される
探し物はこれですか?ってね
ニタリと笑う奴の顔が容易に想像できる


いや、アレスなら捕まえる前に殺してしまうかもしれない
1度殺ると決めた餌(ヤツ)は確実に殺る
顔や名前はいちいち覚えない
それが彼なのだ

だったら私は時期に死ぬ─────?








こんなところで死ぬなんてありえない

やっとのことでスパイの情報を手に入れて遭遇できたというのに

その彼はもう帰らぬ人となったが、スパイが本当にいたというだけでも大きな収穫なのだ


















綾美の左腕が強い力で引っ張られる
走っていた勢いを止められず、転がるようにして引っ張られた方向に体が吸い込まれる

割れたコンクリートの壁
いや、辛うじて壁と呼べる程のコンクリートの隙間
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