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□狂想曲 10
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Prrrrrr────






部屋に響き渡るのは

とある女性の携帯の着信音




シャワーを浴び終えたばかりのバスローブ姿で携帯を手に取る



「貴方から掛けてくるなんて珍しいじゃない....」








"バーボン?"







女性に電話をかけた相手は

安室透こと、バーボン





「我ながらそう思いますよ」




安室には

電話の相手、ベルモットが悠々とソファーに座る姿が容易に想像できた


何故なら

彼女が私的な内容で電話に出てくれるのは、よほどの暇がある時くらいだから




「実は、オリンポスの件で少し」


「懐かしい名前ね、今になってどうしたのよ」






黒の組織内では最近聞かなくなっている名前


元々黒の組織とオリンポスとは

対立、牽制し合う存在


互いの脅威を知っているが故の関係



今までに大きな衝突はない

どちらかに動きがあればどちらかが沈黙


害しようならば牽制

互いの目的は知らないものの
これほど大きな組織どうしとなると
気にせざるを得ないのである


黒の組織にオリンポスの情報があるのは、嘗てスパイを送り込んでいたから


勿論スパイが見つかれば生かしてはおくまい


急に音信不通になり、目撃証言もないためそのスパイは消されたのだろうと黒の組織内では処理された


そんなことまで悟らせないとは熟恐ろしいテロ組織である






スパイから連絡が途絶えてから、オリンポスが表に出てくることが極端に少なくなった


黒の組織でさえ動きが把握できず、オリンポスは解体したなどと噂が立つほどに


それ以来オリンポスの名前が出ることはなく、今日に至っている
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