episode

□狂想曲 1
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空港に降り立つ一人の女性

「日本も久しぶりね....」



ここは東京

彼女にとって、ここは初めての場所
日本で行ったことのある場所は大阪だけ
そう、それ以外は私用のためほとんど海外で過ごしていた


向こうでの暮らしは悪くなかった
イギリス、フランス、ロシア、アメリカ.....

どの国も風景よし食べ物よし、日本にはない魅力を兼ね備えたそれらは、この地の文化を少々忘れさせるほど彼女の中に定住していた


黒のサングラス、黒のコート、黒のセーター、黒のブーツ
季節は春になろうとはしているが冬

全身を黒く染めた美しい女が風を切って歩く度に、周囲は騒めき視線を痛いほどに向ける


タクシーを拾い、これからの住居となるであろう場所まで運転手と他愛もない会話をした
外国のタクシーは運転が荒いこともしばしばだが、それに比べて日本は丁寧に運転する
客を送り届けることが最優先ではあるが、こういったところを海外のタクシー業者も見習って欲しいものだ


とある高級マンションの前、そこでタクシーは停車した
普通の人間では縁のないような場所だ

率直に言って、部屋は気に入った
窓からは東都タワーがはっきりと見え、あら...意外と大きいのね、と思わず零す

彼女の荷物は多くはない
大きめのキャリーが一つとまたまた大きめなバックが一つ
仕事に使うものさえあればそれでよいのだ、足りない物があれば揃えればいいだけのこと


荷物の整理もすぐに終わり、ソファーの上に座った、かと思うと彼女はそのまま眠りについた
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