夢小説を覗き見る
□いいから食わせろ
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満月の明るい夜の街に、空に黒い影が舞う。
白いワイシャツに黒いベスト、黒いズボンに革靴。
一見、執事の様に見える長身の男が空を舞い、ストンと教会の鐘のそばに着地する。
この下町には似つかわしくない格好の男が教会の塔の上であぐらをかいていた。
???「はーおなかいっぱい。貴族の若い男の子はやっぱ美味しいなぁ♪
女はイマイチ甘ったるくて口に合わん・・」
空を見上げると満月がぽっかりと暗闇に浮かんで街全体を明るく照らしていた。
満月はやっぱダメだなぁ。
違うとこのおなかが減っちゃうやぁ・・・
自己紹介しよう。
俺はトリス・ラングレー
俺はいわゆる吸血鬼の一族である。混血であるらしいが。
自分は吸血鬼としては血が薄いのでほとんど普通の人間と変わりはない。
多少、身体能力が常人より秀でている程度。
寿命も恐らく200歳程度で死ぬだろう。
曾祖父さんは800年生きたと聞いている。
その代わりに、日光もニンニクも十字架も平気。
心臓は潰したことが無いからわからないが・・・
血も飲まなくても平気。美味しいけど
その昔、西に居城を構える一つの街を統べる長の元に産まれた。
その後、巨人の発生に寄り我が一族も絶え一人になったので壁の中と言うものに来てみて生活している。
齢は124歳になる。
見た目は20歳程で成長が止まるのでそんなジジイには見えない。
ずっと西に居たので知らなかったが100年程前にこの壁が出来たらしい。
田舎の城下街だったし俺が物心ついたあたりは暴動と戦争と巨人と慌ただしくあんまり良い記憶がない。
その点、この壁内は物が色々溢れていて。活気的だった。
こんなにたくさんの人を見たのもここに来て始めてだった。
食物は・・・微妙だったが、装飾品や服、内側に行くともっと煌びやかだった。
気に食わなかったから俺は自分らしく地下街に住み着いた。
いわゆるゴロツキやら闇組織とのつながりで日々を食いつないでいた。
たまにお出かけしてお嬢様の血を拝借していたが、メス豚の血よりも、可愛い男の子の血の方が美味しかった。
うちの一族は滅びる運命なんだろうなと思った。