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□いいから食わせろ
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ちなみに血を吸ったからといって相手が吸血鬼化する事はない。
しかし厄介なことに吸った血の相手の情報が体に反映してしまう。
混血故に発生した珍しい亜種らしい。
しゅぅぅ・・・・
トリス「ああ・・・小さくなったなぁ。今日は、ちょっと飲みすぎたかな」
貴族の栗毛の可愛い純朴そうな少年の血を吸ってきたため、体が縮んだ。
銀髪の髪は薄く栗色に染まり、茶色に近い赤だった目はグリーンに、顔立ちも可愛らしい子供の顔つきになっていた。
飲む量によっては影響が出ないこともあるんだが、今日は久しぶりだったのでちょいと飲みすぎてしまったようだ。
トリス「服ダボダボだな。まぁいいか、今日はここで寝ようっと♪」
教会の鐘の下にごろん・・と横になる。
寝覚めは最悪だった。
ドゴオオオオオオォォォォォン
地響きと轟音、人々の悲鳴で目が覚めた。
あの50mはある壁から巨人が顔を覗かせていた。
トリス「は?」
壁の入口を破壊したようだ。
巨人がぞろぞろと街の中に入ってくるのが見えた。
トリス「何だと?あの壁は破られないもんなんじゃ無かったのか?
つーかアイツデカ過ぎだろう・・・」
ポリポリと寝起きの頭を掻く。
取り敢えず体は元に戻ってるようだし移動するか。
着地地点には既に巨人がおり、小さな女の子を追いかけていた。
チッ
ジャッ
爪が鋭く伸びる。
トリス「縦1m、横10cm。首の後ろっ!!」
シュパン
巨人が倒れる。
暇つぶしに読んでいた書物がこんなところで役に立つとはなぁ。
トリス「お嬢ちゃん。パパやママは?」
優しく微笑む。
泣きながら首を振る。
トリス「そうか・・・たぶん避難の船が出るはずだからあっちに向かって走れ。振り向くな」
近くの民家のそばで母親が下敷きになったらしく二人の子供が必死に助けようとしているのが見えた。
チッ
俺は善人ではないが、見てしまったものを放って置けるほど悪人でもない。
母親は恐らく瓦礫に足を潰されてもう走って逃げる事はできなそうだ。
トリス「何やってる!気持ちは判るが逃げないと全員死ぬぞ!」
男のガキを抱え上げる。
???「何すんだ!!母さんが!母さんがまだ!!」
背中をガンガンぶっ叩かれる。