始めての恋の味
□いち
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『十番隊隊長、日番谷冬獅郎…参りました』
どこか幼さが残った声
元柳斎が入れ、と言うと扉は開かれてゆく
(日番谷…冬獅郎…)
扉の向こうにいたのは、銀髪に翡翠色の瞳をした…少年
『…』
白い隊長羽織りを羽織った少年は、目の前にいる美しい少女を見ては、動きを止まらせた
『日番谷隊長、ここにいるのが、今日から十番隊に配属される…一条伊織じゃ』
『…え、あぁ…十番隊隊長、日番谷冬獅郎だ。』
ハッと我に返ると、日番谷は目の前の少女に名乗る
『……一条伊織です。』
黒髪の美少女は、ぺこっと頭を下げた
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ー数刻前ー
十番隊隊舎
『たぁーーっいちょっ』
バァン!と派手に音を立てながら執務室に入ってくる、妖艶な美女ーーー
十番隊副隊長…松本乱菊は、豊満な胸を強調させるように大きく開かれた胸元に電霊神機を挟ませながら、パタパタと自身の隊長、日番谷冬獅郎の元へと駆け寄って行く
『うるせぇ松本。静かに扉閉めろ』
中にある隊長机に座り、今日もまた忙しそうに書類を片付ける日番谷。
いつものように煩い松本をチラッと見ると、眉を潜めながらまた書類へと目を落とす
『今日新入隊員の入隊日ですよねっ!しかもしかも一気に五席就任の天才児がいるとかっ』
『うるせぇ知ってる』
『やりましたね隊長っ!しかもお、ん、な、の、こらしいですよ!』
『だから何だ。それより松本…お前はそんなこと言ってる暇があんならさっさと机の上の書類片付けろよ。残業だぞ』
日番谷が睨むと、松本はビクッと肩を揺らし、冷や汗をかく
『きょ、今日はおめでたい日ですよ隊長っ!新入隊員歓迎会だって密かに計画してるんですからっ!』
『計画してるのはいいがお前は仕事が終わるまで飲み会には参加させねーからな』
『そ、そんなぁっ!なんて酷い仕打ちを…!』
松本がわざとらしくよろめくと、イラっと日番谷は青筋を立てる
『なにが仕打ちだ。常日頃仕事をサボってるお前が悪い。』
松本はそう言われると、うぅ…と眉を下げる
渋々机に向かった松本は、だらーっとしながらも山積みになった書類を片付け始めた