超にゅースター

□マークを見てもいいでしょう
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スマホから顔をあげたユナクの顔はまるで般若のようだった。
鼻息荒く、廊下をずんずん歩き、まっすぐ目当ての部屋へ向かう。
ドガン!と勢いよくドアを開け、スマホをいじるゴニルに突撃する勢いで迫った。

「ちょっとゴニル!記事読んだよ!」
「え?何の?」

ユナクの気迫にも動じることなく、いつもの半笑いで返され、
「あー!」と荒々しく息を吐いた。

「何のじゃないよ!あんな、カッコ悪いとこ、見せちゃダメなのに!」
「あ、TV LIFE?」

ユナクは仁王立ちしたまま、鼻から息をふん!と出して肯定する。
その様子を見てゴニルは笑わないように気をつけながら返した。

「あれはさぁ、ユナクさんが陰ながら努力してるっていうのを、
メンバーがしっかり認めてるよっていう、むしろ、優しさで・・・」
「何笑ってんだお前」

顔が面白くて、とは言えずに黙っていると、ユナクが続けた。

「意味わかんない。あれじゃ、まるで俺だけカンニングしてたみたいじゃん!」
「実際そーじゃん」
「ほら!そう思ってたんじゃん!MWも、そう思う子がいるかもしれないじゃん!ダメじゃん!ほら!」
「・・・あー、大丈夫だよ、MWは優しいから」
「そういう問題じゃない!知らなくてもいいことだったじゃんって言ってんの!」

怒りのあまりどんどん声が大きくなるユナクに対し、的外れな返しをする為、
ユナクのボルテージは上がっていくばかりだ。
いよいよ収集がつかなくなったところで、騒ぎを聞きつけたグァンスが近寄ってきた。

「何騒いでんの?」
「あ、グァンス」
「見てよ!この記事!どう思う?!」

ユナクは右手に握り締めていたスマホの画面をグァンスに見せ、詰め寄るので、グァンスは
「俺が怒られてるみたい」とゴニルを見て苦笑した。
それから、画面を見て「この記事なら俺も見たよ」とユナクを見る。
「それで!それで!」とユナクがコメントを催促してくるので、顎に手を添えて考える。

「んー、ゴニルがユナクんの努力を可愛いって思ったなら、MWも同じように可愛いって思うんじゃない?」

そう言うと、ユナクは考えもしなかった答えだったらしく、きょとんとした後に眉間に皺を寄せて目を斜め上に動かす。

「え?そ、そうなの?そういうもの?」
「実際、ゴニルは可愛いって思ったんでしょ?」
「うん。だから言ったんだもん」
「…そ、ならいい」

先ほどまでの勢いが嘘のようにあっさりと引き下がり、満足げに部屋を後にするユナクを弟二人は静かに見送った。

「嵐のような人だ」
「グァンス、お前すごいな」
「なんで」
「あんなにユナクさん怒ってたのに、お前の言うこと素直に聞いてた」
「俺からしたら、どうやったらユナクんをそんなに怒らせるのかわかんないけど」

閉じられたドアを見つめたまま、ゴニルはやや放心状態のままで話していたが、ふと我に返った。

「よかった!ユナクさんの機嫌は直ったし、ありがとう!」

そう言うと、ゴニルはユナクに声をかけられる前と全く同じようにスマホいじりを再開した。
こうして事務所には平穏な空気が戻ったのだった。
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