とある惑星の使者

□お兄ちゃん
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クリスが荷造りをしていると、ミンソクが部屋に入ってきた。
そのままフローリングに直接座って、スーツケースに貼られたままの、空港で貼られるシールをいじった。

「クリス、明日から中国で仕事だっけね」
「ああ」
「タオから聞いたよ、クリスが嬉しそうにしてたって」
「そうか」
「そんなに面白そうな仕事なの?」
「まぁ」

そっけない返事でも、喜びを隠しきれないクリスの口元を見て、ミンソクは嬉しそうに笑う。
荷物を入れ終えたクリスが、スーツケースをつぶすのを眺めながら訊ねる。

「明日は早いの?」
「5時に家を出る」
「そう。早いね」
「ああ」
「飛行機だから、楽なかっこうで、すっぴんでいいね」
「ああ」
「でも、やっぱり、朝早いのは大変」
「ああ」
「じゃぁ、クリス、楽しみでなかなか寝付けないかもしれないから、今日は早めに布団に入って寝なくちゃね」

笑顔を向けると、クリスは口元を引き締め、顔を背けた。

「クリス?」

クリスはスーツケースを起こすのと一緒に立ちあがり、ため息をついた。

「ミンソク、今、俺の事、弟扱いしたろ」
「え?」

それだけ言うと、クリスはスーツケースを転がして玄関に行ってしまった。
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