とある惑星の使者

□お布団温めますか?
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中国での個人スケジュールがあったチャニョルは、深夜、1人で宿舎に帰ってきた。
仕事で帰らないメンバーを除いて、全員が眠っている。
宿舎ごと、眠っているかのように静かだ。
チャニョルはただいまも言わず、ただ黙って靴を脱ぎ、寝支度を整え、自室に入った。

異変にはすぐに気付いた。

「・・・おい」

布団がモゾリと動く。
チャニョルは、布団の中にいる人物を掛け毛布の上から叩いて言った。

「分かってんだよ。ベッキョナだろ!」
「いてっ!おい、容赦ねぇな!」

声をあげて笑いながら、ベッキョンは布団を自分からめくった。
チャニョルはそんな彼を白い目で見る。

「お前さぁ・・・」
「別に、隠れてたわけじゃないよ。温めてたんだ。泣けるだろ?」
「泣ける」
「そうだろ、そうだろ」

満足そうに言うと、ベッキョンは、気持ちばかりの隙間を空け、布団に入るように促す。
しかし、チャニョルはそれに従わず、茫然とベッキョンを見降ろしてため息をついた。

「マジで泣ける。疲れて帰ってきて、この仕打ちとか、ホント泣ける」
「おい、どういう意味だよ」
「言葉のままだ」
「何だと?ふん、今日くらいは許してやるよ。まぁ、入れよ。な?」
「何が、まぁ入れよ、だ。俺の布団だぞ」
「へーへー、あるじ様よ、布団に入りたもれ」
「おま、マジ・・・疲れてなかったらブン殴ってたわ」

ため息をつきながら、チャニョルは大人しく布団に入る。
布団に入るや否や、突然、チャニョルは噴き出して笑った。

「うわ、何、ビビるんだけど」
「やべーわ」
「何が」
「布団、あったけーんだけど」

それを聞くと、ベッキョンも一緒に笑った。

「だろ?」

ひとしきり笑い合うと、二人はすやすやと眠った。
翌朝チャニョルは床の上で目を覚ます事になるが、二人にとって、それもまた、いい笑いのネタとなるのだった。

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