超にゅースター

□僕の女神さま
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きっかけは何でもよかった。
寂しさを埋めてほしかった。

「お腹痛い」

構って欲しくて、メッセージを送った。
体調が悪いと言えば、電話してくれるかもしれない。
醜い期待だ。

そして、案の定、あなたは電話をくれる。
普段はクールで、ものぐさなくせに、ちゃんと心配してくれるあなたが、大好きなんだ。

「ソンジェ、お腹痛いって、どうした?大丈夫か?」
「ユナクさん」
「ん?病院には行ったか?薬は?」
「ユナクさんに会えなくて、苦しいよ」

電話口でため息が聞こえた。まずい、仮病をつかったと思われている。
お腹が痛いのは本当だ。
それほど重傷ってわけではないけど。

「あの、薬飲むほどじゃないんだ。けど、キリキリ、痛くて、痛みが、寂しさを増幅させたというか」
「ソンジェ」
「ユナクさん、本当です」
「別に、どっちでもいいよ」

携帯に耳を押し付けて、ユナクさんの表情を読み取ろうとした。
かすかな動きで、不快に思っているのか、本当に気にしていないのか見極めようと思ったのだ。
けれど、息遣いさえも聞こえず、諦めて直接聞く事にした。

「呆れてますか?」
「え?」
「変に心配させて、電話をよこさせようとした僕に、呆れてますか?」

もしそうなら、どうにかして弁解しよう。
必死になって聞いたら、電話口でクスクス笑う声がして、こっそり安堵した。

「はは、ソンジェ、会えないのは寂しいよな。俺も、寂しいよ。だから、連絡が嬉しかった。俺も連絡したかったけど、きっかけがなくて。きっかけなんて、何でもいいのにな」
「ユナクさん・・・」

同じような事を思ってくれていたという事実に喜びがこみ上げる。

「ユナクさん、今度は、理由がなくても、連絡していいですか?」
「うん、俺も、変に意地張らず、連絡するよ」
「ありがとうございます。声が聞けて嬉しかった。ユナクさんの声を聞くだけで、安心するんです」
「俺も嬉しい。ソンジェがツイッターに現れる度、連絡を期待してたよ」

意外な告白に息をのんだ。

「ユナクさん、ほんと?」
「うん、ちょっとだけ」
「嬉しい。嬉しいよ、ふふ、本当に元気になっちゃった。また、すぐに。連絡します」
「ああ、また」

たった数分の電話で、僕のどうしようもない寂しさは癒えた。
ユナクさんは僕のオアシス。僕のメシア。僕の女神さま。

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