超にゅースター

□ツイッター合戦
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仕事場に着いてから、車でもたもたしていると、
先に降りていたユナクさんが外から覗き込んできた。
それから、僕の二の腕を両手で掴んで引っ張る素振りをした。

「モちゃん、久しぶりにラブラブ写真撮ろう」
「なんですか、それ」

僕は、冷たい感じでそう返しつつ、
ふわりと微笑んで半身を外に出した。
何枚か写真を撮り、満足したらしい彼は、
「ありがと。後でミルキーに見せようっと」
と笑って僕の肩を軽く叩いた。

ユナクさんが行ってしまった後、SNSのチェックをして車から降りた。
スタジオには既にユナクさんがいて、携帯を片手にコーヒーを飲んでいる。

「ユナギョン」

長机に座っているユナクさんの背中に声をかけたが、
振り返ることなく「んあー?」と適当な返事が帰ってきた。
特に用があって声をかけたわけではないので、
気にとめることなく斜め前に座る。

「何だよ、用があったんじゃないの」
「別に」

そう返すと、「あっそ」と半笑いで僕を見る。
その目をスルーして、何気なくツイッターを開くと、
さっき撮ったばかりの僕とユナクさんの写真が出てきた。

「ユナギョン」

無視された。けれど、まぁいいやと思って、黙った。
さっそく投稿したんだと思うと面白くて、
僕は緩む頬を抑えきれずに「くくく」と声を出した。

「何だよ」

ユナクさんは、多分僕の反応の理由に気づいているのに、
わざと素知らぬ顔をして、伺うように見てくる。
その声を無視して、僕はツイッターを更新した。

『さっそくアップしたのwww』

目の前にいるユナクさん宛に、リプライを送った。
ツイッターのチェックの頻度はあまり高くないユナクさんだが、
僕の反応を気にしてか、ずっと眺めていたらしい。
数秒後には吹き出して僕を見た。

「まだ僕にだってさっきの写真くれてないのに」

僕のリプライを見ただろうと決めつけて、抗議した。
案の定、ユナクさんはすんなり受け止めて笑う。

「先にミルキーにあげちゃった」

下を向いて携帯をいじっているので、
僕に写真を送ろうとしているのかと思ったが、
チラっと視界に入ったのはツイッターの画面だった。
まさかと思い、ツイッターを更新すると、ユナクさんからリプライが来ていた。
上目遣いに彼を見ると、わざとらしく目をそらして肩をすくめてから、いたずらっぽいめで僕を見て微笑む。

『ヒヒヒ、俺のほうがちょっと早かっただろ!』


「っていうか、そもそも僕もらってなかったし、ユナクさんずるいですよ」
「撮ったもん勝ち、言ったもん勝ち」

そう言うと、僕の反論も聞かずに椅子から立ち上がってどこかへ行ってしまった。
LINEで写真が送られてきていたので、お礼の代わりに、
『それは言い逃げ、僕の勝ち』
と書いて送信ボタンを押した。




この後、ユナクさんがモちゃんのリプをお気に入りに入れた通知が来て、
一人でニマニマするモちゃんがいましたとさ。

END

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