超にゅースター

□マンネとヒョン
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@ゴニルとユナク(ユナク目線)

ソンジェが入隊するため、暫く一緒に仕事が出来なくなる。女性自身のインタビューではソンジェへのお別れの言葉などをメンバーそれぞれが話した。俺は唯一の兵役経験者として、アドバイスを少し。だがソンジェは見た目と違ってかなり男気があるから心配はしていない。辛いは辛いだろうが、芸能人としての活動がない分、自分のために使える時間ができる。彼がどのように成長して戻ってくるか、楽しみだ。
インタビューは進み、相変わらずジヒョクがメンバーにいじられて、和やかに進んでいく。そんな中、俺は右隣に座る大きなマンネの様子が気になっていた。長いメッセージを話した後あたりから徐々に元気がなくなっていくのが目に見えて分かったからだ。…こいつ、仕事だって分かってんのか?若干ムカついたが、それほど酷い態度では無かったので、そのままにしておいた。ジヒョクのボケに乗った俺の事さえちゃんと見ていたのであれば、とりあえずは許してやろう。それは後日確認する。
ソンジェからのメッセージを撮る前に小休憩を挟む事になったので、さっそく反対側に座っていたジヒョクの前に行き、先ほどのボケを褒めてやった。正直、個人的にかなりツボだったので、お前の隣に座りたかったと言うと、ジヒョクは照れながらも久々にボケが決まって良かったと喜々としていた。調子に乗るなよと可愛い弟の頬を軽くつねってやると、すかさずスタイリストがメイクを直す。ミネラルウォーターがカメラの後ろの机に並んであったので、ソンモと話しながら飲み、自席に戻った。座る前、ゴニルに水分は取ったか聞こうかと思ったが、一切こちらを見ていなかったし、そんな事まで気を使ってやる必要も無いなと思い直した。かわりに俺の左隣に座っているソンジェに目をやると、ミネラルウォーターを飲んでいる最中だった。ソンジェが俺の目線に気付いてニッコリ微笑むので、あとちょっと頑張ろうな、と微笑み返した。
ソンジェのメッセージは入隊前の寂しさや不安が滲むような言葉で、少し胸が締め付けられたが、それほど深刻な雰囲気にはならず、最後にははい、終わり!といったような彼らしい区切り方で終了した。正直歯切れの悪さはあったが、そこが彼らしいし、よりいっそう早く戻ってきて欲しいと思えた。噛みしめるように拍手をしていたが、メンバーの中で唯一動かない奴がいた。皆笑顔で拍手をする中、カメラも見ずに両手を太ももの間に挟んだまま猫背でぼんやり宙を見ているのは超新星のマンネことゴニルだ。流石の俺も堪忍袋の緒が切れた。最後の挨拶の前に少し時間をもらうことにした。
メンバー同士で雑談しているのを尻目に、相変わらずつまらなそうな顔をして座っているゴニルに体を向けた。

「なぁ、お前、たった10分ちょいも集中してられないのか?」

目線を揺らがせながらも俺の声に反応していることを確認し、言葉を続けた。

「ラストに向けて笑顔なくなってさぁ、疲れてんの丸分かりなんだよ。何考えてんだか、まぁ、考えてないんだか知らないけど、とりあえず最後の挨拶くらいはしゃんとしろよな」

俺の顎あたりまで視線をあげていたが、途中から自分の爪先を眺めていたので腹が立った。

「聞いてんのかよ」

スタッフは俺たちの空気に気付いているが、気付かない振りをして打ち合わせを続けている。ソンジェは暫くかかると見越して手洗いに行っていた。俺たちから一つ開けて隣はソンモが座っていたが、背中を向けてジヒョクたちと話している。

「…ん」

ややあってからゴニルが発した声は、おそらく話しを聞いていたという合図。瞬間、頭に血が上るのを自覚し、目を閉じて深呼吸をした。さっさと撮影を開始させるには怒りを爆発させてはいけない。そして、せめて微笑むくらいの事を、この生意気なマンネにしてもらわなければならない。今までゴニルの事はソンジェに任せていたので、こんな時の扱いには慣れていない。さっそく先が思いやられるなと空いた座席を見ながら自嘲しているとゴニルがモソモソ喋り出した。

「話、ちゃんと聞いてた。あと、自覚あったし、最後の挨拶はちゃんとする」

と言って俺の太ももを軽く叩いた。俺の顔を見ていなかったが、顔をあげて微笑んでいたので、とりあえず安心した。

「…なら良い」

ゴニルの横顔を見ながら、返事をした。やっぱり何を考えているかいまいち分からない奴だ。その後、スタッフに中断した事を詫びて撮影を再開し、無事にインタビューを終えた。
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