輝く豆腐たち

□構ってと言えない
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「ヒョンはどうしてプライベートで僕らと遊んでくれないんですか?」
「遊んでるじゃん」
「たまにです。断られる事の方が多い」

何が言いたいの?とでも言いたげな、少し不満そうな顔でこちらに顔を向けるオニュヒョン。
構って欲しいと言ったつもりだったのだが、通じなかったようだ。

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ミノが突然変な事を言い出すので、話を聞いてやろうと顔を向けた。
しかし、不満を抱えた表情のままで、話の続きをしようとしない。
はぁ、と息を吐き、「だって…」と俺から口火を切る事にした。

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構ってもらいたくて言った言葉が、彼を苛立たせてしまったらしい。
表情を見れば分かったが、こちらの言い分も少しは理解して欲しい。
誘いを何度も断られるのは辛いし、惨めな気持ちになる。
理不尽な気持ちになり黙っていると、彼はため息をついて口を尖らせ言った。

「だって、お前らとは仕事でも家でも一緒じゃん。休みの日は好きな事したいじゃん」

衝撃だった。
言っている事は理解できるし、自分もそう思う。皆も思ってる事だろう。
しかし、今、このタイミングで言う言葉だろうか?
僕の気持ちを少しは考えて欲しい、なんて女々しい事を言う訳じゃないが、
僕の気持ちを少しは考えてくれても良いじゃないか!

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仕事以外でメンバーと外出しない理由を聞かれたので、
それに答えただけだったが、聞いた本人が変な顔をしたまま固まってしまった。
同業者なら皆そう思ってるだろうし、彼も同じだろうと思っていた。
だから、何故そんな事を聞くのかと不思議だったが、彼はどうやら違うらしい。

「ヒョンは…僕らと喋ったり、遊んだり、馬鹿な事したりして楽しそうにしてますよね。
でも、あれはカメラが回っているからですか?」
「は?」

おかしい。ミノの様子がおかしい。
何故こんな事を聞かれるのか分からない。
分からない、が、彼はどうやら悲しんでいるらしい。
ここはヒョンらしく、優しい言葉をかけてやる必要がありそうだ。

「…ち、違うよ。俺は撮影中も本当に楽しいと思いながらお前らと話したりしているよ」
「では、今度のオフに僕とランチしましょう」
「は、何で?」
「…ほらヒョンは」
「オニュヒョン!」

ミノの言葉を遮るようにオニュを呼んだのはジョンヒョンだった。
オニュは助かったとばかりにジョンヒョンの元へ走って行く。
残されはミノは、とぼとぼと自室に戻るしかなかった。

今後彼が遊びの誘いに成功するかどうか、それはまた別のお話。

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