特設会場

□けんけんぱ
1ページ/1ページ


綺麗に舗装されたコンクリートに、チョークで円を描くピオと、その様子を少し困惑した表情で眺めるテイル。
宿舎にいたテイルは、無理矢理ピオに外に連れてこられ、大した説明もなく道路に立たされているのだ。
作業が終わったらしいピオは、GOALの字の上に立つと、STARTと書かれた方を指差してテイルを見た。

「テイリヒョン、けんけんぱ」
「俺がするの?」
「うん」

素直に従うテイルは、START位置につくと、ピオに向かって手を振った。

「じゃ、始め!」

嬉しそうなピオの合図で、テイルは円の通りに、けんけんぱ、と進んでいく。
GOALの一マス前に来たテイルは、両腕を広げて待っているピオを見上げて頬を膨らませた。

「ちょっとぉ。ゴールできないじゃん」

しかし、ピオは頑なに両腕を広げるばかり。
観念したテイルが体を傾けると、その体をピオが抱き上げた。

「ゴール!俺がゴールだったんですよ!」
「はは、何それ」

ピオはテイルをクルリと回してから降ろした。
テイルの両手を握り、同じ目線になるように軽くかがむ。

「テイリヒョン、面白かった?」
「うん」
「何が面白かった?」
「うーん。これ、俺のために考えたの?」
「うん!最近テイリヒョン元気無かったから!」
「そっか。ありがと」
「うん。何が面白かった?」
「俺のためにチョーク買ってきたり、線引いたり、頑張ってるピオが楽しかった」
「ん?バカにした?」
「してないしてない」

テイルがピオのパーカーのポケットに手を突っ込むと、ピオはポケットの中でテイルの手を握る。
ゆっくりとした足取りで、二人は仲良く宿舎に帰った。

END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ