Realヴィ

□食べ物の恨み
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冷蔵庫を覗いたホンビンは、上を向いて嘆く。

「あーうわ、萎えたー。俺のジュース無くなってるーあー・・・」

しかし、もう一度冷蔵庫を物色すると、興味をそそられるものがあった。

「お?バナナウユあるじゃん」

すぐさま手に取り、紙パックの口を開こうとする。
少し離れたリビングにいるウォンシクは、ソファに座ったままホンビンを見る。

「それエニョンのだよ」
「えー?なにー?んー?」

聞こえているはずのホンビンは、気付かないふりをして紙パックを破った。
その様子を眺めていたウォンシクは、ため息と共に顔を前に戻す。

「・・・俺知らないから」
「あ、名前書いてあった」
「今度、買い直しときなよ」

ホンビンを見ないまま、ウォンシクは諭すように言うが、当人は相変わらずとぼけた顔でストローをすすった。

「ん〜、テイストはまずまず」


***


ウォンシクとホンビンがソファに向かい合って座り、それぞれが携帯を見たり雑誌を見たりしている所に、ドスドスと何者かの足音が近づいて来た。

「俺の飲んだのだれ」

現れたのはハギョンで、手にはバナナウユの空きパックが握られている。
その手は怒りでわずかに震えていた。

「あ、」
「何、ウォンシガ、心当たりでもあるの」

抑揚を抑えたハギョンの声は、明らかに怒っている。
困ったウォンシクがホンビンを見ると、すぐさま矛先はホンビンに移る。

「何、もしかして、飲んだのはホンビナ?」

怒りのオーラを纏うハギョンを前にして、笑顔全開のホンビンは、またとぼけた声を出した。

「ん〜?何が?」
「これ!お前が飲んだのかって聞いてんの!」

ホンビンの目の前にバナナウユをつきつけると、「あ〜」と指さして笑った。

「うん。俺が飲んだ」

あっけらかんとして言うので、ハギョンは肩透かしを食らったようだ。

「え、ちょっと・・・本当に?」
「うん」
「・・・ビナ。食べ物の恨みは怖いんだからね・・・」

恨めしそうに睨むが、ホンビンは全く動じていない。

「ん〜でも、これ飲んだ時、俺、喉渇いてたから」
「なに・・・」
「それに、俺の野菜ジュースも無くなってて、これしかなかったからさ。でもエニョン。それ、あんまり美味しくなかったよ」
「お前は名前を書いてなかったからだろ」
「ん、てことは、俺のを飲んだのはエニョン?」

口ごもるハギョンに、ホンビンは続けた。

「エニョン、俺のは別にいいよ。それより、俺が気に入ってるバナナウユ買ってあげるから、今からコンビニ行く?」
「ホント?」

自分の非を許してもらえたのと、バナナウユを奢ってもらえるのとで、顔を輝かせたハギョンは、嬉しそうに頷く。



ほどなくして、二人はコンビニへ出かけて行った。
誘いを断り、一人宿舎に残ったウォンシクは「ビナ、エニョンの扱いうますぎかよ」と呟いた。



END

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