Realヴィ

□ある日の朝A
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『料理が下手』のレッテルを貼られているエンだが、以前ヒョクに「ホットケーキはミックス使って、レシピどおりに何のアレンジも加えず作れば、少なくとも、まづくはならないと思います」とアドバイスを受けたので、ここ最近練習している。



エンは朝からエプロンをつけてホットケーキ作りに精を出していた。
すると、匂いを嗅ぎつけたのか、ヒョクがリビングにやってきた。
寝起き過ぎる目は、ほとんど開いていない。

「ヒョギヤ!おはよ!ホットケーキ食べる?」

大きめの声で明るく呼ぶと、ヒョクは薄く目を開けて振り向いた。

「…いらない」

小さく言うと、キッチンに入り、シリアルを手に取った。
ヒョクは普段、朝食にシリアルを食べる事は少なかったため、エンは焦った。

「ごめん、ホットケーキに使っちゃったから、牛乳、あと少ししかない」

背中を通るヒョクに合わせて、エンは体をクルクルと動かして謝った。
しかし、ヒョクはエンの呼びかけを無視して、食器棚から皿を出すと、シリアルを開けた。

「牛乳、少しならあるよ?」
「・・・・・・」
「かけようか?」

シリアルの入った皿を持って、キッチンから出ようとしたヒョクに、エンは牛乳を持って近づいた。
すると、ヒョクはサッとエンを避けて「いらないです」と冷たく言い放った。

「そのままで食べるの?」
「ないなら仕方ないじゃん」
「そだね・・・ごめんね。使っちゃって」
「・・・・・・」

ヒョクはそのままリビングへ行き、テレビをつけてシリアルをボリボリ食べた。

わりと、普段のマンネの反応。
エンは寂しく思いながらも、ホットケーキ作りを再開した。

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