Realヴィ
□ある日の朝C
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ホットケーキ懐柔作戦により、冷たかったヒョクとの距離が、少し縮まった気がした。
エンは、ヒョクに言われた通りに頑張った甲斐があったなと喜びを噛みしめた。
今日のスケジュールは午後から。
エンは昨夜、朝食にホットケーキを作る事を決めていたため、メンバーがゲームなどをして楽しんでいるのを横目に、早々に休んだ。
そして、張り切って早起きをした。
みんなはゆっくり眠っててね・・・心の中で言いながら、エンは仕度を開始した。
エプロンをして、戸棚からホットケーキミックスを出す。
残りが少なくなっており、買い足さなくては、と思ったが、後ろに新しいミックスがあった。
誰が買ったのだろうか?
毎日作れるわけではないため、買い足しの際は、自分で買いに行ったり、タイミングが合えば代わりに買い物に行ってくれるマネヒョンに頼んでいた。
マネヒョンには頼んでないし、一体誰が・・・?
そう思いながらも、まぁいいかと切り替え、ホットケーキ作りに取り掛かった。
暫くすると、バタバタと足音が聞こえてきた。
エンは口元が緩むのを自覚しながら、リビングの戸を見た。
「エニョン!ホットケーキ、食べたい!」
ドアが開くのと同時に大声で言うのは、ヒョクだった。
真っ直ぐキッチンへ向かうと、「1枚も焼けてるやつないの?」とエンを急かす。
エンは幸せなため息をついて、「たった今、焼きはじめたばかりだよ」と言った。
「それ、僕のだよね?」
ヒョクは、おもちゃを目の前にした子供のように、キラキラした表情でエンを見る。
「もちろん。これが焼けたら起こそうかなと思ってたけど、今日のヒョガは早起きさんだね」
エンとしては、今日は朝食抜きで、ホットケーキはブランチになるだろうと踏んでいた。
しかし、喜ぶヒョクを見て、嬉しい誤算だったなと微笑んだ。
「顔を洗ってる間に焼き上がるよ。ホットケーキは逃げないから、いっといで」
「はぁい」
素直に返事をすると、ヒョクは洗面所へ向かった。