過去拍手のお話

□甘えさせたい
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久しぶりにソンジェと会える日。
だから今日は、思いっきり甘えさせてやろうと思って、俺の家に誘った。
それなのに、天の邪鬼な俺は、ウキウキしながら玄関に入るソンジェを見て、俺は落ち着いておこうと必死になった。

「お腹減った」
「…お前、入隊してから太っただろ」
「旅行したい」
「休暇、結構あるだろ?」

折角久しぶりに会えたのに、面白くない事ばかり言う自分が嫌になる。
しかし、気にせず俺にべったりくっついて甘えるソンジェが有り難かった。
兵役に出てから、もともと大きかった体は筋肉の所為で、より大きくなった。
太い腕で俺を抱きながら、「俺もみんなと活動したい」と拗ねたように言うのが可愛い。

「…それは、俺も入隊してた時、もどかしかったし、分かるよ」

ポンポンと頭をなでると、嬉しそうにぎゅうっと口角をあげた。
幸せそうな顔。
筋肉ムキムキでも、顔は本当に天使みたいだ。
後ろから覗き込むようにして俺を見ていた顔が、急に真顔になる。

「ヒョンに会いたい」
「んん?会ってるじゃん、今」
「ねぇ、したい」
「え、」
「ヒョンと、したい」
「なに、を」

唐突な申し出に戸惑う。

「わかってるくせに、セ ッ ク ス」
「よ、欲張りなソンジェには我慢が必要だと思う」
「どうして?したくないの?」
「・・・・・・」
「ねぇ、したいよ。させて?ユナクさんを、抱きたい、愛したい、俺でとろけて欲しい。ねえ」
「…ずるいよ、ソンジェのバカ」

素直になれない俺を、ちゃんと理解してくれるソンジェ。
多分、本当は、「俺も」とか言うべきなんだと思う。
だけど、恥ずかしくて、なかなか言えない。
そんな時、リードしてくれるソンジェが、やっぱり大好き。

「ユナクさん、ちゃんと言って」
「なにを」
「ユナクさんも、したい?」
「・・・・・・」
「うん」

言ってしまえば、堕ちるのは簡単だ。
甘えさせてあげるつもりだったのに、とことん甘えた。
次回こそ、ホントに甘やかせてあげよう。
何度目かの決心をした。

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