特設会場
□通い妻
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メンバーの健康管理を担当していたリョウクは、最近宿舎を出たヒチョルを心配していた。
健康管理と言っても、毎朝メンバーたちを起こしながら朝食を摂るように言うくらいのものだ。食欲がないと訴えても、「そんな時こそ食べなくちゃ、元気出ないよ!」と無理やり食べさせようとする。キュヒョンが入る前まではマンネだったリョウクに、メンバーは今でも弱かった。特にイェソンはリョウクを猫可愛がりしていることで有名だった。そんな中、ヒチョルはそれ程分かりやすく愛してやる事はなかったが、リョウクは一人暮らしをし始めた兄を心配して、日々家に通っていた。
「またヒチョルさんのとこ行くの」
「はい」
「過保護すぎない?通い妻みたいだ」
スケジュールの合間を縫って、隙あらばヒチョルの家に行こうとするリョウクを、同室のウニョクがからかった。
「違いますよ。死んでないか様子見に行くだけです」
「あんなおっさんのために自由な時間を使うなんてもったいないよ」
からかいつつも、自分の休暇をヒチョルのために使ってしまうリョウクを彼なりに咎めたのだった。
「お、優しいウニョクさんがそんな事言うなんて、大ニュースだ。伝えておきますね。」
「待て待て、あの人、俺には結構容赦ないんだ。勘弁してくれよ」
リョウクは、そんなウニョクの心中を知ってか知らずか、楽しそうに笑った。
「しーらない。僕ヒチョルさんに会ったら最初に言いつけちゃうもん」
「親愛なるヒチョルさんを頼んだ。いってらっしゃい」
「ふふ、嘘ばっかり」
「どうしても行くのか?」
「様子見に行くだけですから」
「そうか。ん〜、ま、可愛い子には旅をさせろと言うしな」
考え直す気が無いのが分かると、ウニョクは優しく笑ってリョウクの頭を撫でた。
「何ですか、それ。変なウニョクさん。いってきます」