超にゅースター
□ファッションセンス
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神戸コレクションの日の夜、
ソンジェはユナクの不機嫌を知ってか知らずか電話をかけた。
「ツイッター見たら凄い賑わってて驚いたよ。雨の中お疲れ様」
会場は雨でかなり寒かったと聞いた。
さらに連日のプロモーション活動の為に疲労が溜まっている状態でのライブは
いつも以上に体力を使っただろうと思い、年長者を労うように優しく声をかけた。
しかし、ユナクはそっけなく「ああ」とだけ返した。
まるで「あ」という言葉に不機嫌ですという感情を詰め込んだみたいな返事に
ソンジェは可笑しくなって笑った。
「何笑ってんだよお前…」
「いや、何か、こんなにわかりやすく不機嫌だと逆に面白くて」
クックと笑っていたら、
「マジで信じらんないから…」というユナクの悲痛とも取れる声にソンジェは笑顔をしまった。
「どうしたの?」
「俺らがファッションショーとか、どう思う?誰が喜ぶ?」
メンバーたちが観客に見守られながら細い道をウォーキングする姿を思い浮かべるも、
ライブの映像以外に特に浮かんでこなかった。
首をかしげて「ミルキー?」と返すと、あからさまなため息が聞こえた。
「そればっか。ぶっちゃけ俺らの私服なんてダサい訳。
あんなファッションショーみたいなとこで着ていく服なんて誰も持ってないわけ」
「ゴニリはファッションに興味があるよ」
「ダメ。全然だめ」
「というか、ファッションショーは用意された服を着ればいいし、
そう考えればライブとかプロモーションとかと同じじゃん」
ソンジェには、ユナクの不機嫌の理由が分からなかった。
ことの始まりは数時間前に遡る。