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□詩を書くあなたに100のお題。8
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076「本」

あなたの物語のお姫様になりたくて
必死で背伸びをしているけれど
なかなか思うようにいかなくて
お姫様になれなくて
どちらかと言えば
王子様の回りを飛ぶ、わき役の蝶々
でもね
その蝶々を侮っちゃダメよ
いつか呪いが解けて
お姫様になるんだから
いつか絶対
お姫様になるんだから

あなたの隣で絵本を広げて
心を決めた

いつかきっと
あなたのお姫様になってみせる


・・・・・・・・・・


077「守り手」

あなたの強いところも
あなたの弱いところも
ぜんぶぜんぶ
あなただから

優しさも
冷酷さも
たまに見せる
子供っぽい顔も

全てがあなたを作っているから

だから守りたい

私が守りたい

私はあなたみたいに強くないけど

あなたを包む心だけは
誰にも負けないと思ってるから

あなたを想う気持ちだけは
誰よりも強いと思っているから

守るよ

いつでも

あなただけは絶対に
守ってみせると誓います


・・・・・・・・・・

078「マント」

ドラキュラのマントが似合いすぎる彼。
二人で食べるプリンの甘さと混ざる
私の甘い恋心。
思わずじっと見つめたら
「魔女はどんな魔法が使えるの?」
首を傾げられた。
「私しか見えなくなる魔法をかけました」
自信満々に言ったのに
「その魔法ならオレが先にかけました」
まったくもってその通り。
結局何も言い返せなくて
魔女はドラキュラとただただプリンを食べました。


・・・・・・・・・・

079「湖」

水面に映る月
腕を伸ばしてその月を掴むと
小さな波が起きて歪んでいった
銀髪が風に揺れる
この姿を君が見たら
どんな顔をするだろうか
驚くだろうか
笑うだろうか

いや、きっと君のことだから
何でもないような顔をするんだろうな

オレがオレであるという事が大事なのであって
姿がどうであれきっと
「関係ないよ」と笑うのだろうな

歪んだ月がまた丸くなった頃
目を閉じて君を想うよ


・・・・・・・・・・

080「ミュール」

ポキリと折れてしまったヒール。
「転ばなくてよかった」
隣であなたがほっとしたように笑うけど
「これからどうしよう」
と途方に暮れてしまう。
そんな私をあなたは軽々抱き上げて
「新しいの買ってあげます」
そう言ってまた笑った。
まさかこのままお店に行く気・・・?
抵抗しようと思ったけれど
目の前にあるあなたの楽しそうな顔を見て
なんだか力が抜けてしまった。
ちょっと恥ずかしいけれど
この距離感とお姫様抱っこの美味しいシチュエーションを
私は受け入れることにしました。



・・・・・・・・・・


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