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□幸福論。
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「幸福論。」


君の
「今」になれて

君の
「過去」に生きられて

オレは
とても幸せだよ。




「未来」は
オレにもわからなくて。

「このままずっと」
そう願うことしか出来なくて。


もどかしく
愛おしい毎日。


君の笑顔と
君のぬくもりと
君の強い瞳

それだけが
オレの支え。


君が居ない世界には
なんの興味もわかないよ。


君がこの世界に居て初めて
オレがこの世界に存在する。


君の涙に
君の喜びに
君の切なさに
オレがなれたならば。



それはとても


幸福なことなんだと思うよ。











・解説・

蔵馬くんは
もちろん「君」より
ずっと前から生きているわけで。

つまり
「ずっと待ってた」訳ですね、
「君」が産まれてくるのを。

独りでずっと「生きる」ことを
義務的に繰り返していただけの彼は
「君」と出会うことで初めて
「生きていきたい」と思ったのです。

「君と生きていきたい」
「叶うならずっと」

もちろん
「ずっと」は叶わないことを分かっていて。

だからせめて
刹那の時間でも、

「君の感情が
オレから産まれて欲しい」

と願うのです。




「喜び、怒り、哀しみ、楽しさ。
すべてにオレを感じて欲しい。」




やっと見つけた
「生きていく理由」
「生きていきたい理由」
それが「君」だったこと。

何にも変えられない。
変えることなど出来ない。



「それが「君」なんだよ。」



そう言って笑うのです。

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