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□腹が減っては戦ができぬ
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こ、ここは一体なんなんだ

こっちに来てからこんな台詞しか言っていないような気がするが、私はきっとまだまだ言い続けるだろう。

今私の目の前には高級レストランかッ!ってくらいのレベルの料理が広げられている。
あれ?この料理は何だろう?お皿の上に…パンくず?そう思ったら鳩ちゃんが飛んできたので答えはわかった。
主人であるルッチさんに顔を向ければ微動だにしないのに、やはり仲が深いのかokがもらえた(らしい)ので鳩ちゃんはそのパンを食べ始めた。
なんて可愛いんだ。触りたい

というか次々と料理がテーブルに置かれていくが、なんだなんだ海軍ってそんなに金があるのか?ルッチさん貴方一体給料おいくらですか?

「飲み物お注ぎします」
「え?あ!ありがとうございます!」
さっきまで私が死守していたオレンジジュースがさっきの海兵さんによってワイングラスに注がれていく。

「あ、すみません!実はそれさっき勝手に開けちゃって!高級そうなのに!本当すみませんでした!お金ならルッチさんが!!」

そう言った瞬間。
前と横から凄まじい視線が

もちろん前とは

「すみませんでした、高そうな料理についテンションがあがりました。調子乗りました。すみません目力で人を殺そうとしないでくださいルッチさん」
奴だ。怪力マンだ

なら横というと
「…い、いえ。これは軍の費用なので…」
と怯えつつ答える海兵さんの事だ。

何故そんなに驚いているんだ
あ!分かった!
私の暮らしがおかしかったのか!これが普通なのか!
ハッこんなものが高そうだってェ?おいおいお嬢ちゃんは相当貧乏な暮らしだったんだなァ!!って事ですか!
酷い!金持ちな家庭では決してなかったけど私の家は一般的だったと思うぞ!!なんだなんだしまいにゃ泣くぞ私は!!

「それに、これは一緒に乗客した貴方ように用意した物なので」
「ほへ?」
「バカヤロウ。普段から俺がそんな液体飲むと思うか」
「ほへ?」
「乗客が決まった時にそちらに入れさせてもらいました」
そう言いながら海兵さんの目線がさっきの冷蔵庫に行った。
え?あ?つ、つまり私が乗ると決まった時、この海兵さんはルッチさんと同じ部屋だろうと考え、この部屋にはワインやらビールやらと、お酒しかないので気を使ってこのオレンジジュースを入れて置いてくれたって事だ。

そもそも部屋に冷蔵庫やワインセラーがあること自体おかしいのだが、まぁこの怪力マンが呑んだくれって事だな。


それにしたって、なんて優しい海兵さんなんだ!!というかいつの間に!ここの人はみんな行動が早いな!!あーもう!さっき怒鳴ってすみませんでした!私の方が分かっていませんでした!すぅあっせん!!
そして海兵さん、口調がさっきと違いませんか。二重人格ですか
あ、そっか。こんな怪力マンの前じゃキチンとした言葉遣いが当たり前だよね。仮にも上司だし
…私も気を付けよう。まだ死にたくないし

「それではごゆっくりと」
支度が終えたのか、海兵さんがそう言い、律儀に一礼して立ち去ろうとしていた。

「あ!あの!海兵さん!!」
「あ、はい。なんでしょうか」
コテンと首を左に少し傾け頭にハテナを浮かべるこの海兵さんは天使か!なんて可愛い仕草をするんだこのお兄さんは!

「この料理と飲み物、それとさっきは靴まで!本当にありがとうございます!」
それと…と、あたふたしながら続ける私の言葉を、何故か驚いた顔をしてるが嫌な顔せず待ってくれるこの海兵さんは本当に天使か

「さっきは急に怒鳴ったりしてすみませんでした!!私みたいな部外者が!本当!調子乗ってすみませんでしたァ!!」
とソファの上で土下座を始める私に、今度は海兵さんがあたふたし始めた
「と、とんでもありません!!え、あ、あと一時間で到着するので!ご、ごゆっくりと!」

そう言ってドアを閉めていった。
あぁこんな方がルッチさんの部下って…勿体無い…!!

「…というかルッチさん。貴方何呑んでいるんですか」
「ワインだ」
「違います!なんでまたお酒呑んでいるんですかって話です!」
あぁ!さっきもこんなコントみたいなことしたよ馬鹿ァ!!

「何か食べながら呑まないと体に良くないですよ。ほらこれなんて美味しそうじゃないですか」
そう言って真ん中に置いてあるエビチリのお皿を指差す。
というか私が食べたい。うん食べよう
どうせルッチさんはしないだろうけど、キチンと手を合わせ

「いただきまァァアア!!ルッチさん!!」
「うるせェなんだ」
「それ今私が取ろうと思っていた一番でっかいエビチリ君!!!」
「バカヤロウどれも同じだ」

"いただきます"しなきゃ良かった…

「どうですか?美味しいですか?」
「別に普通だ」
「ん〜どれどれ。あ、これ美味しそう」
パクッとさっきのサイズよりは小さいがプリプリッとした身のエビチリ君を口に運べば

うんめェェ!!!!!
なんだこれ本当にエビチリなのか
こ、これが普通レベルなのか

「ルッチさんの美味しい基準が分からない…」
「不味かったならやめればいい」
「なッ!違いますよ!逆です!こんな美味しいものが普通だなんて!なんて舌をしているんですか!」
「確かめてみたいか」
「うっわ!セクハラだ!」
ルッチさんこそエニエスロビーで裁判を受けるべきだ!!
ん?エニエスロビー?

…あ、そうだエニエスロビー。
忘れていた大事な事を

「ルッチさん!!…あ、このトマト美味しい。ってそうじゃない!」
「あぁ。これは悪くない」
「ですよね!それとこの白身の…って違う!!」
なんでちょっと盛り上がってんだ!
そうじゃない!!

「さっきからどうした。騒がしい」
「あ、すみません」
あれ?なんで誤ってんだ私

「あ、あのですね。私がルッチさんの下で働く件についてなのですが」
「あぁそれか」
あぁそれか、って!!
私にとっては生か死か!ってぐらいの話だっつーの!!

「私は先程言ったように運動音痴で料理音痴で歌も音痴なんですよ」
あぁ泣きそうだ
というか料理音痴っておかしいよね
普通に料理が出来ません。味音痴ではありません。うん

「何も特技はありませんし!お役に立てるとはミジンコ1匹分にもありません!!」
ドーンという効果音が付きそうなくらい胸を張って言った。…張る胸なんてないけど

「クズだな」
「………」
「おい!ふざけるな!」
ルッチさんの白ワインにオレンジジュースを入れてやった。

(あっはっはっ!ルッチさんが焦ってる!)
(……)
(すみません!また調子に乗りました!"それ"を下げてください!まだ死にたくないです!!)

意外と仲良いなお二人さん

そしてさっきのオレンジジュースの話ですが、海兵さんが驚いたのは
「この女!この方になんて口の利き方を!殺されるぞお前!大丈夫なのか!」っていう心配です。お優しいです
この海兵さんもっと出したい←

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