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生徒会室へ向かう途中。

チラチラと こちらを見ている人物が居たけど気にせず隣を素通りした。

でもこれは声かけてきそうな予感。

「あの、ちょっと待って!」

……はい、やっぱりね。

予想通りすぎて笑える。

「なにかご用ですか?」

面倒くさいという気持ちは表に出さず、ニコリと振り返る。

そこに居たのは三年前生徒会副会長親衛隊隊長だった、柴咲剣だった。

今もそうなのかは知らないけど。


柴崎剣ーー…何度こいつに嫌がらせをされたことか。

こいつのせいで上履きや教科書が何度も駄目になった。

相川に惚れてるわけではないから、復讐対象としては考えてなかったけど。

好きか嫌いかでいえば、間違いなく嫌いな相手。

できれば相手なんてしたくないんだけどな。

俺の顔をみて嬉しそうな表情をする柴咲。

それだけでもだいぶ違和感があるのに。

「えっとその、僕あなたの親衛隊を作りたいんです!」

言ってることまでおかしかった。

さんざん嫌われてた相手にそんなこと言われるなんて思わないでしょ。

だいたい副会長の親衛隊はどうしたの。

あれだけ盲信してたくせに、辞めたのかな。

すっと心が冷えるのを感じた。

やっぱり嫌い。

「俺の親衛隊作ってどうしたいの?」

優しい口調で問う。

「本当綺麗…。僕、遥様とお近付きになりたくて。」

上目遣いで見上げてくる柴咲は最高に気持ち悪かった。

ーー…ガッ

思わず壁を蹴ってしまうくらいにね。

狙ったのは柴咲にあたらないスレスレの位置。

「は…はる…かさま…?」

「黙れ。」

声すら聞きたくない。

「俺さー嫌いなんだよね、お前みたいなの。外見に騙されちゃって馬鹿じゃないの?気持ち悪い。」

そう言って冷たく睨めば、柴咲は目を見開いた。

「そ…それが、本性…?」

人聞きの悪い言い方しないでほしいね。

嫌いな相手だからだよ。

でもまぁ間違ってはないか。

グイッと柴咲の髪を掴み顔を近付ける。

三年前と全然変わってない顔付きに思わず舌打ちをした。

「だったら、悪い?」

笑みを一切消してそう言う。

すると、だんだん近付いてくる柴咲の顔。

……は?

ちゅ

そんな音が聞こえた気がした。

……なんで俺、キスされたの。

「あぁ…やばい…っ」

そう言って恍惚とした表情で見つめてくる柴咲に寒気を覚えた。

嫌な予感しかしないんだけど。

途端、柴咲が距離を縮めたことで抱き合うような体制になる。

太腿に当たる硬いもの。

「きゃっ!」

身の危険を感じた俺は、柴咲の身体を反射的に突き飛ばしていた。

きゃっ!じゃないよ。

大丈夫なのこの人。

「汚いもの擦り付けてくんな!お前、マジ無理っ。」

気持ち悪すぎ。

それでもまだ近寄ってこようとするから思いっきり蹴りを入れた。

さっきと違ってスレスレとかじゃない。

本人に当たるようにね。

「あんっ…待って…」

変な声出さないでほしい。

柴咲ってあんな奴だったの…?

変な道に引きずりこまれたりしたらたまらない。

俺は生徒会室目指して走った。

後ろで聞こえる声は全て無視。

うるさい。

なんて言われようと、もう絶対関わらないから。


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