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『遥、この書類お願いしますね。』

『沙織おまえ風紀室くらい自分で行け。そんなんで毎回恋人呼びつけてたら、そのうち嫌われるぞ?』

『遥っち、こんな人使い荒いさおりんとなんて別れちゃいなよ〜。なんなら俺にしとく?』

『……祥哉…キモい。』

それはーー…

相川柚希が転入してくる前の記憶……。







俺が再びこの学園に来てから約三週間が過ぎた。

変わったことといえば、うさちゃんが一緒に行動するようになったことくらいかな。

そのおかげで相川に絡まれることも増えたけど。

そこはうまく紀藤が立ち回ってくれるから支障はない。

紀藤にはなるべく相川を優先するように頼んであるからね。

だってバレたらいろいろ面倒くさそうだし。

その代わり紀藤には時々夕食をご馳走してる。

本人がそれがいいって言ったんだよ。

まぁ釣った魚に餌はあげないとね。

俺と紀藤の関係の変化に要は不満そうだったけど。

「はるか君、今日も風紀のお仕事あるの?」

クイッと袖を引っ張られた方を見れば、うさちゃんが首を傾げていた。

「え!?ちょ…っ」

なにをしても可愛いんだから。

思わず頭撫でちゃったじゃん。

最近うさちゃんから話し掛けてくれるようになったんだよ。

だからすごく嬉しい。

「遥、宇佐美が困ってる。」

そう言って俺とうさちゃんを離したのは要。

いつもいいところで邪魔するんだから。

「要のケチー。いいじゃん少しくらい。今日はえーと…ごめん、今日も生徒会室行かないと。」

「そっか、大変だね。…頑張って!」

そう言って控え目に笑ったうさちゃん。

あぁ、俺の癒し。

そうそう、変わったことといえば…

生徒会の監視という名目で補佐を引き受けたこともだね。

要が推薦してくれたおかげであっさりこの仕事を引き受けることができた。

会長は相変わらず心開いてくれないけど。

「じゃあそろそろ行くね。」

二人に別れを告げ、生徒会室へと向かう。

……まぁ追い出されなくなっただけ進歩なのかな。

初日は生徒会室に入ることさえ認めてもらえなかったんだよ。

全く、この三年間でどういう心境の変化があったっていうのかねぇ。

…なんでもいいけど。

じわじわと追い詰めてあげるから待っててね。

会長?





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