『天使は微笑まない』
□「目的とこれからと」
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その後、私はベッドの上で正座をしたままの状態で皆さんのここに至るまでの話を聞かせていただいた。
なんでも学帽の彼、承太郎君のお母様で長々と話し続けるジョセフ・ジョースターさんの娘のホリィさんという方が伯父のせいで危篤なんだそうだ。
その症状は昔自分が体験したものに似ていて、まさかなと思いながら聞かされた話を頭の中で整理する。
ジョースターさんは頷くだけの私に気づかないまま伯父さんからの刺客の敵スタンドの話をし始め、いい加減私の足が限界に近づいてきた。
痺れを通り越して、痛い。
その辛さは隠せるものではなく、確実に顔に出ているはず。
でもジョースターさんはこちらを一瞥もくれず話を続ける。
日本人すごい、こんな過酷な体勢を常日頃からしているなんて…。
悟りが開けそうだと痛みを忘れるため無心になっていると、承太郎がやっと私の様子に気づいてくれた。
目が合い、私が苦笑する。
承太郎君はプルプル震える私の足を見て呆れたようにため息をついた。
「おい、じじい。話が長いぜ」
「む、そうか?では今はとりあえずこのくらいに…」
「っっっ〜〜〜〜〜!!!」
その言葉に私の体はベッドに倒れこむ。
その様子に唖然とする皆をよそに、私は痺れて感覚がなくなっている足を擦った。
よく耐えた、私の足。
だがほっとするのもつかの間、血が巡り感覚が戻ってきたかと思えばとてつもない痺れがやってきた。
ちょっとの振動でも痺れた感覚がくるため、擦る手は止まり体を動かせなくなる。
突然倒れこんだと思えば固まる私に困惑する周り。
だが一人だけ理解している男がいた。
チョンッ
「いっ!?」
動かしていないのに酷い痺れを感じ、何事かと顔を上げる。
チョンッチョンッ
「じょうた…ろぉぉぉぉぉ!?」
無表情のまま私の足をつつくスタンドと、その後ろに佇む男。
それは先程正座地獄から救ってくれたはずの承太郎君だった。
何度も私の足をつつくその顔は心なしか笑っているようにも見える。
なんて酷い男なんだ!
と言い返す気力もなく、私はただ足の痺れに悶絶することしかできなかった。
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