『天使は微笑まない』
□「選択」
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ピリピリとした空気を肌に浴びながらこの修羅場に緊張感を感じる中、私はただそのシルバーチャリオッツと呼ばれたスタンドの騎士を見つめていた。
キリッとした目付きと綺麗に構えられた剣に私のテンションは急上昇中。
心なしかハラリエルもご機嫌だ。
でも武器を構えたスタンド前にしていつでも準備いい感じにファイティングポーズとらないでほしい。
私は昔からお話に出てくる騎士が大好きだった。
王子様より、脇役でも騎士ばかりを目で追いかけて、こんな風に誰かを守れるというのはとてもかっこいいと憧れていた。
ハラリエルは剣持ってるのにいつも素手だし…。
私がキリッと剣を構えるシルバーチャリオッツを見つめていると、なぜかシルバーチャリオッツが消えてしまった。
ああ待って!まだ見ていたい!
「な、なんなんだお前…」
「これも罠か…?」
「やつのスタンドが身構えている!油断するな!」
「今こいつの相手をしている暇はないというのに…!」
そろそろ泣いていい…?
ハラリエル君のせいだよ…。
戦うスタンド消えて落ち込むなよ落ち込みたいのこっちだよ…。
泣きたくなって、フードを被って歪む顔を隠す。
「赤目に金髪…、探せばそのくらい…!」
「ですがあの禍々しい空気…、DIOに会った時の事を思い出す…!」
19歳ガラスハートの女の子掴まえて禍々しいだってさ!
金髪赤目か…、これはもう、DIO=伯父さんの線は濃厚みたいだ。
でも聞きたい相手に敵認定されてしまっている今、知りたいことが聞けなかった。
と困っている中、またハラリエルがそわそわしだした。
やだ、次はどんな警告よ!
そのそわそわに気づいた四人が身構える。
そして次の瞬間、地面が揺れた…のではなく、私の視界が揺れた。
背中を押され、体が前に押し出された。
右足で踏ん張ろうとしたら、後ろから今度は膝カックン。
そのままバランスを崩すこと数回。
とどめの一撃は首への当て身!
ハラリエルの親指を立てた姿を最後に突っ張っていた左足の力が抜け、最初の地点から5mも移動したところで完全にバランスを崩した。
その間二秒。
突然のことに全員が固まっていた。
そして私が倒れ込んだ先は逞しい筋肉で…。
…きん、にく…。
「ポルナレフ!大丈夫か!?」
「早く離れるんだ!攻撃されるぞ!」
「どうしたポルナレフ!早くシルバーチャリオッツを出すんだ!」
こ、これは、この人は…!
「お、おい、お前…」
顔を上げて見えたのは先程とは違い困惑した様子のポルナレフさんで、状況を理解した私はそのまま視界がブラックアウトした。
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