爆転

□決勝の地ロシア
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辺り一面、白しかない世界。白銀と呼べる世界。
列車からの景色は、それをより一層感じさせた。列車の中だから、温かいのだけれど、きっと外はすごく寒いのだろう。タカオは曇っていた窓を擦って、外の景色を見ていた。
この列車の部屋内は、ベッドが四つあるだけの、小さな部屋。格安なのだから、これが限界なのだ。
「ずーと同じ景色だぜ?一体いつまで続くんだ?」
隣でノートパソコンをいじっているキョウジュに聞くタカオ。
「後数時間で着きますよ」
だが、その数時間が長く感じるのが、列車の旅だ。
「ロシアか〜。どんな相手か楽しみネ!」
マックスは嬉しそうにポテチを頬張っている。
「俺もこの国は初めてだからな〜」
レイはロシアと言う寒い地方には、来た事がなく、内心はとてもウキウキしていた。
「世界大会Bブロックの優勝チームなので、沢山のバトルを繰り広げてきたはずなのですが・・・」
キョウジュが画面を見ながら言う。
「それで何で情報が無いんだよ」
そう、彼らについて、情報が無いのだ。戦い方の参考にもならない。
「ロシアチームは、全ての戦いを一瞬で終わらせて来たんです。データを撮る暇も与えずに」
「Wow!一瞬デ!?」
そのキョウジュの発言に驚くマックス。
「ええ。圧倒的な強さです。メンバーの、ユーリ、セルゲイ、ヴォリス、イワン。誰一人一敗たりともしていません」
強豪チームなのだろう。タカオはそれを聞いて、喜んでいた。
「早くロシアチームとバトルしてー!!」
「楽しみだな〜」
レイも、無邪気に喜んでいた。
「う〜ん、ワクワクするネ!!」
マックスも同様、喜んでいた。
「ええ!私も道のデータ収入に燃えます!!」
キョウジュは、別の意味で燃えていた。
「カイ!お前はどうなんだよ!ロシアチームの事を聞いて、燃えてくるだろ!?」
カイは二階、いや二段ベッドと呼べるべき場所で、瞳を閉じで、皆の話を聞いていた。
「ん?」
「最強のチームだぜ?がぁーっ!燃えるー!」
「ああ。楽しみだ」
本当に楽しみなのだろうか?何故かレイには、どうもそんな風に思えなかった。カイの言葉から、感情的なものを感じ取れなかった。



あれから三時間程で、ロシアの駅に着いた。



「ロシアって寒いんだな〜」
半袖のまま列車を飛び出したタカオは、焦って上着を着た。
駅から少し歩いて、話し合っていた。
「モスクワは、北海道より北にあるんですから。冬が本番になると零下10°より寒くなる事もあるんです」
キョウジュからの説教を食らうタカオ。
「軽はずみな行動で、凍死しても知らないぞ?」
レイも冷静にタカオに説教。
「そう言う事!」
マックスも言う。
「分かったよ!さっさとホテルに行って温まろうぜ〜」
説教を聞いていなかったのか。タカオはホテルに行こうとする。
「・・・へ、へっくし!!」
大きいくしゃみをするタカオ。まさか本当に風邪を引いてしまったのだろうか。
「風邪引かないと良いんですけどね。大丈夫でしょうか・・・」
キョウジュも、流石に心配し始める。
「な〜に、タカオの事だ。心配ない」
「そうそう!タカオは風邪引くようなやつじゃないネ!」
レイもマックスも、タカオが風邪を引くような奴じゃないと、認識していた。
「もう、早く行こうぜ?」
タカオに言われ、タカオの後をついて行く。



あれから、30分程街をさまよっていた。
「ふぅ〜・・・。ホテルはまだなのかよ〜」
タカオは疲れて、その場にしゃがみ込んでしまった。
「そろそろ着いてもおかしくないんですが・・・」
キョウジュが地図を見ながら悩んで言う。
「道、間違ったのかな・・・」
マックスも心配そうに、地図を見つめる。
カイが、後からついて来ないレイを心配して、戻ってきた。そしてキョウジュが持っていた地図を奪い、見つめる。
「・・・」
「・・・どうだ?分かるか?」
「ん?ああ」
スタスタと歩き出すカイ。
「・・・腹減ってもう動けねーよ。もう、そこらで何か食おーぜ?」
皆に向かって叫ぶタカオ。
「餓鬼みたいなことを言うな」
冷静にタカオが言った事に返すカイ。
「餓鬼餓鬼ー」
マックスがからかう。
「置いて行くぞー」
レイも、半分からかう。
「こんな所でじっとしてたら、本当に凍っちゃいますよ?」
キョウジュも、冗談交じりに言う。
「むぅ・・・。何だよアイツら。・・・へ、へっくし!!あ、待てよ!!」
置いてかれそうになるで慌てて追いかける。
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