星屑ひろいの少年2

□聖なる暗室
3ページ/8ページ

悠太は、それを聞いた瞬間、頭を鉄パイプで殴られたような感覚になった。
せっくす?せっくすって、何語だろう?
「あの…僕、そういうのはちょっとまだ…というか、やったことありません」
 悠太は、リカの方を直視できなかった。目線を斜めにずらし、言葉は話すごとにどんどん小さくなっていった。
「大丈夫。私が君くらいの時にはもう…まあいいか。
 君は何も分からないだろうから、寝そべってさえくれたらいい。君を文字通り、骨抜きにしてあげる」
「骨抜きに、なるんですか?」
「人間って、立派なように見えて、案外、野生の動物と変わらないのよ」
「あの、リカさんには非常にいいにくいんですけど、今日はその、そんなとこまで行かなくていいというか、お話だけできれば十分というか」
「だいじょうぶ。ゴムはつけるから」
「いや、そういうことじゃ」
 悠太は、両腕を太ももに挟んだままもじもじと呟いた。悠太の敏感な部分が、もうすでに若干反応してしまっていることを、心の中で恥じながら。
「君がしたくないなら、構わないけれど、ここからどう逃げるつもりなの?
 時間が来てそこの扉の錠が空くのを待ってもいいけれど、何もせず出て行けば、あの人たちに許してもらえないんじゃないかしら」
「あの人たちって…」
 悠太は聞き返したが、彼女の返答は帰ってこなかった。
そのかわり、リカは浴槽の蛇口を締めに行った。さっきのザアザアという音は、蛇口から水が噴き出す音だったのだ。
 素足でペタペタとタイルを歩き戻ってきたリカは、悠太を手招きした。
「さあさあ、風呂が沸いたよ。服を脱いで。それとも、私が脱がす?」
「あ、あの、その、自分で脱ぎます!」
 悠太は、そういうと慌てながらズボンのベルトを外し始めた。
 ベルトを外しズボンを下げ、次に上着を脱いだ。中には、温かいスウェットを着ていたが、それも脱いで、近くの床に置く。するとリカは、慣れた手つきで上着をハンガーにかけ、スウェットとズボンは近くの茶色のカゴに放り込んだ。
 悠太は中に来ていたTシャツを脱ぎ、上半身は裸になった。続いて靴下も脱いだことで、身に纏っているものはもう地球から持ってきたトランクス一枚しかなくなった。
 そこで羞恥心が沸き起こってきて、ちらりとリカの方を見る。しかし彼女は何のためらいも無く、悠太が最後の一枚を脱ぐのを待っている。
 悠太は、ついに堪忍した。
 身に纏っていた最後の一枚を脱ぐと、股下がやけにすーすーとして堪らない。あわてて手を下腹部に当てて、そのままみっともなく棒立ちになった。
 リカは、一連の流れを見守っていたが、悠太が裸体になったのを確かめると、すぐに自分も脱ぎ始めた。 
 黒のドレスを脱ぐと、彼女はすぐにうすピンク色の下着姿になった。その中肉中背、ほっそりとした体の美しさに、悠太は釘付けになった。
悠太は、生まれてこの方、女性の裸体を見たことが無い。しかし女性が服を脱ぐと、こんな感じなのかという関心が沸き起こった。
 彼女は、何のためらいも無くブラジャーのホックを外し、それを取ると両腕で前を隠した。そのまま、下半身のパンティもするするとぬいでしまった。
 彼女は、そのまま無力な悠太を誘導し、バスルームにまで連れて行く。
 悠太は、無抵抗のまま浴槽に身を沈めた。
 悠太は、浴槽の中でずっと体育座りをして、斜め下を見ていた。しかし視線は三〇秒に一回くらい、彼女の首から下へ移って、〇.五秒と経たないうちにまた斜め下へ戻った。
 リカは、自分の目が悪いのだと言う話を始めた。
彼女は、浴槽につかる時、浴槽の上の壁際に置かれたメガネを自分の目に掛けた。黒縁でフレームが強調された、レンズの大き
の眼鏡だった。
「私、出かける時とお仕事の時はカラコンを付けるんだけど、なんだか駄目ね。眼球の表面が傷んできたみたい。お医者さんに、ここに来る前に止められちゃった」
「へ、へえ…そ、そうなんですか」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ