松永さんと○○

□松永さんと携帯電話
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久秀さんがこっちに残ると決めてからは私の名義で携帯電話を持たせている。 

最初の頃は私の帰りが遅くなる時に固定電話に連絡していたのだが、久秀さんは電話を嫌い(なのに何故か携帯はオッケー)しょうがなく買い与えた物だ。
子供っぽいな‥


「帰る前には必ず電話をすること」

それが携帯電話を持った松永さんとの約束。

RRRR....

しかしまぁ‥

「何だね?」

固定電話の時は一度も出た事のないくせに携帯電話になった途端これですよ‥

『今から帰ります。
何か欲しい物はありますか?』

「霧姫」

『はい?』

「‥…何でもないよ」


少しの沈黙の後、何かに失望したような声が聞こえるが気にしない。

『なら着りますね。玄関のドアを開けといてください』

「待ちたまえ。今は会社の前かね?」

『そうですよー』

「なら‥…」

後ろから抱きしめられた感触。
さっきまで電話越しに聞こえていた声がダイレクトに耳に伝わってくる。

「やはり卿だったか」

『ひっ久秀さん?!!』

何だこの人。
びっくり人間みたいに瞬間移動でも使えるのか?!!
超人並みの足の早さなのか?!

‥じゃなくて

『何でここにいるんですか!』

外に出るのは最低限にしてくれと何回も言ってるはず!
もし家に帰れなくなるといけないし怪我でもされたら困る。

しかも服だって‥
久秀さんには何を着せていいか悩んだ。
悩みに悩んだ末、出した結果はスーツとオシャレなおじ様達が着るような服。
‥…‥…高かった。

『‥何でスーツなんですか』

「卿は"何で何で"が多すぎる。私は1つずつしか答えられないのだよ」

『人の揚げ足とらなくていいですから!
怪我とかないですか?
変な人に話しかけられませんでした?』

「私は卿の子供かね」

質問には答えず目を細めて笑いながら私を見る。
人が心配して言ってるのに‥!!
久秀さんは容姿は大人、頭脳も大人だけど行動は子供っぽい所があるんですから!

‥…とは口が裂けても言えない。

「遅くなると霧姫が危ない目に合う機会が増えてしまうと思ってね‥」

『お気持ちは嬉しいのですが‥
私の会社、よくわかりましたね?』

すると画面をこちらに向け

「この地図とは便利だね」

とニヤリと笑う。

つ‥使いこなしている‥だと?!
私でも使いこなせないスマホ‥を?!

『‥何だか久秀さんに負けた気がします』

「霧姫が私に勝てることなどないだろう?」

そう余裕の笑みで答える久秀さん。

‥でも迎えに来てくれたのは嬉しかった。
横にいる久秀さんを見上げ、そう感じたのであった。

END

2015/04/01 霧姫

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