松永さんと○○
□松永さんと朝ごはん
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パジャマからスーツに着替えてダイニングの食卓につく。
『いただきまーす』
手を合わせて、そう小さく呟き箸を手に取る。
ほかほかご飯に味噌汁、玉子焼きに焼き魚。
典型的な和風の朝ごはんだ。
「これも飲むのだろう?」
コツンッと置かれたマグカップの中には私が毎朝飲むコーヒーが入っていた。
『ありがとうございます!
朝ごはんまで作ってもらって‥
何だか、いたれりつくせりで申し訳ないです』
「霧姫に料理が出来るとは思わないからね‥」
なるほど‥私の料理スキルが乏しいと、そう言いたいのかこの人は。
この時代じゃないのに料理器具の使い方を覚えて完璧に作れる久秀さんとは違いますよ?
でも、私だって人並みには作れます!!
この毎日のお礼に、帰りにたまには日本酒でも買って帰ろうかと思っていたけど久秀さんの食べないケーキでも買って帰ろうか‥
そんな事を思いつつ玉子焼きに箸をのばす。
すると目の前に置かれる見慣れた紫の風呂敷に包まれた私のお弁当。
「今日は君の好きなナスの煮浸しを入れておいた。味わって食べるといい」
『本当?!
やったぁ久秀さん大好きです!!』
箸を置いて椅子から立ち上がりお弁当を抱きしめる。
やっぱり日本酒買って帰ろう。
安いのじゃなくて少しだけいい物を。
高いのは無理です、ごめんなさい。
『今日は仕事頑張れそうです!!
なんてたってナスの煮浸しがお昼に待っているんですから!』
「そうかね。なら定時に終わらせて私にも褒美をくれたまえ」
『褒美‥?
あぁ日本酒ですね!』
なら今日は財布に多めにお金を入れておかないと‥
そんな事を考えてほかほかご飯を口に運ぶ。
「それもいいが‥…
一番の褒美は霧姫、君だろう?」
『ぶっ!!』
ニヤリッと起こされる時に見た笑みに墓穴を掘った事を知ったのだった。
END