短編集
□海と私とハプニング
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『海っ!!!』
今までの長雨のせいで見ることのできなかった青空。
そのすぐ下に輝く海。
足元に広がるのは太陽の光を浴びて白くなっている砂浜。
そうです!今日のデートは海で遊ぼうデートです!
嬉しくて駆け出そうとした私の手を握ってそれを制した健太郎先輩。
「まさかここまで喜んでくれるとは思わなかったな‥。
まだ水温が低いみたいだから今日は泳ぐのはダメだよ」
『そこがちょっと残念ですけど‥大丈夫です!砂浜もありますし、波打ち際で遊びましょう?
それに‥先輩と一緒ってことが私には大切なことですから』
「もう霧姫‥君って子は‥」
少し照れたように微笑む健太郎先輩は夏の太陽のせいかいつもよりかっこよく見えた。
見惚れていたことを誤魔化すように私は
『‥健太郎先輩!早く行きましょう!!』
「ちょ‥…!!」
握られたままの手を引っ張り、砂浜の方へと走りだした。