短編集
□雨と君
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今日の占いで私は最下位だった。
それとは関係ないけど階段を踏み外したり、体育のバスケでテンションが上がり突き指したり、まばたきをしたつもりだったのに授業が終わっていたり‥
あまり良いことがなかった。
友人は"その占い、すごいねぇ"と言っていたが違う。これは占いが当たったんじゃなくて、偶然がただ重なっただけなんだ‥…!
『ホント、ついてない‥…』
私は今日一日胸の中に溜まっていた言葉を吐き出した。
外は雨。委員会で帰りが遅くなったばっかりに空模様までも私を見放してしまっていた。
う‥占いのせいなんて絶対思わないんだから!!
『‥…‥…』
そんなことを思っていても雨は止むことはない。
試しに"止めよー!!"って念じたらもっと雨が酷くなった。
この雨雲、性格悪いな。
こんな日に限って折りたたみ傘はないし、傘を2つ持っている人なんていない。
(しょうがない。濡れて帰るか‥
教科書は濡れたら困るからビニール袋に入れて、っと‥)
『よし!!』
教科書類をビニール袋に詰め、鞄に再度放り込む。
それと今日つけているヘアピン。
健太郎先輩が似合ってるって言ってくれた大切なものだから濡らしてサビをつける訳にはいかない。
鞄の持ち手をきゅっと握って降りしきる雨の中を走りだそうとした瞬間、
「霧姫?」
後ろから声をかけられた。