短編集

□お弁当を君に
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「霧姫はこっちで食べないの?」

誘われるが丁寧にお断りする。
クラスに友達を待たしているし健太郎先輩の付き合いもあるだろう。

それに‥…

「健太郎!
お前いい感じの捕まえてきやがって!」

「うわっ!」

『健太郎先輩?!』

突然健太郎先輩が殴られ視界から消える。

『ちょっ!!
花宮先輩?!!』

これが先輩のクラスに行くたびに毎回繰り広げられる。

花宮先輩はとても優しいと聞いていたのに、初めて会ったときはそんなことはなくて

「花宮?
あぁ。あれは猫かぶってるんだよ。
本性はこっち」

学校では優等生を演じているとのこと。
健太郎先輩曰く"じゃれてるだけ"らしい。

いや、絶対嘘だろ。

そうは言えなかったけど。

「ちっ。健太郎から惚気しか聞いてねぇんだよ。霧姫、二股でもかけてねぇのか?
なにせ人の不幸は蜜の味だからな」

『そんなことできませんっ!』

毎回酷い冗談だ、と思いつつ健太郎先輩の呼吸を確認する。

‥…良かった、無事だ。

酷く殴られ倒れていた健太郎先輩の横で一緒にご飯は食べられない。

これも断る理由の一つ。

『じゃあ、先輩。
私クラスに戻りますね。
花宮先輩あまり健太郎先輩を殴らないようにお願いします。
えっと‥健太郎先輩。
お弁当箱は帰りにでも渡してください』

では、と言いつつ待ちくたびれているだろうクラスメートのいる教室に戻った。
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