短編集

□お弁当を君に
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『失礼しますっ‥
‥…あっ!健太郎先輩っ!!』

私は午前の授業が終わると必ず行くところがある。
それが楽しみで学校に通っているって言っても過言でない程に。

その楽しみは‥

『お弁当、届けにきました!』

「お、わざわざごめんね」

それは健太郎先輩のクラスにお弁当を届けに行くこと。

申し訳なさそうにしながらも、どこか嬉しそうな彼の顔を見るのが大好き。

だからお弁当のおかずには力を入れてしまう。
ちょっとでも彼の好きな味付けにしたいと努力は怠らない。

本当は彼の分だけ作って自分のは購買で買うほうが楽なんだけど‥

「霧姫。ちゃんと自分の分作ってきた?」

『もちろんです』

それをやったら健太郎先輩は怒る。
"自分のことを優先しなさい"って。


『今日は少し時間があったのでデザートも作ってみました。
焼き菓子なので明日までなら保つと思います。
でも早めに食べてくださいね?
もし良かったら感想を聞かせてくれると嬉しいです』

そう今日は頑張った。
この前テレビで"フライパンで作るどら焼き"にチャレンジしたのだ。
あまり甘い物の好きでない健太郎先輩でも食べられるよう全体的に甘さは控えめにした。

コーヒーを混ぜてみる勇気はなくて今回は断念したが。
‥…次の機会に。
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