短編集

□1.恋ってやつを教えてやるよ
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1.恋ってやつを教えてやるよ

『うぁぁぁぁぁん!!!』

初めまして、皆さん。
初対面で号泣していてごめんなさい。
だけどこれにも理由があるんです。
何故始めからそうそう私‥霧姫が号泣しているかと言うと‥

『あり得ないよぉぉぉ!!』

初めてできた彼氏につい先日振られたからです。
それもデートも一度もせず、恋人らしいことと言ったら何日か一緒に帰ったことぐらいか‥


「だから止めとけって言っただろうが」

この心のない言葉をかけるのは同じクラスの長曾我部元親。
席も隣で話しやすく相談にものってくれるいい"友達"だ。

だけど今回だけは

「やめておけ。お前にはもっと良い奴がいるからよ」

付き合う前も付き合ってからも何度もそう言われた。

だからと言って諦めきれるわけもなく‥

『うぅ‥』

今の状況に至る。
隣にいる元親は何も言わず座ったままだ。


「はぁ‥」

ため息つくぐらいなら私の話なんて聞かなければいいのに‥
なんてことを思っていたらいつの間にか元親が目の前に立っていた。

「ったくよぉ‥
こうなるぐらいなら言っとくべきだったな」

ぽんっと頭に手を置かれ顔を上げると‥ 

「俺を好きになれ。ずっと霧姫が好きだったんだ。
絶対アイツより惚れさせてやっから」

『‥元親のこと好きになるわけないじゃない』

当分人を好きになることは絶対にできない。
捻くれた言葉を吐く私に指で涙を拭いつつ、いつもの明るい笑みで

「俺が"恋"ってやつを教えてやるよ」
 

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