短編集

□You have been the only one for me
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ケータイの連絡先も全て変え、元親に探されるのを恐れていた。
もし、笑顔で結婚のことを報告されたら立ち直れない。
仕事だけは辞めることが出来ないので続けていた。

新しい生活が始まって2ヶ月。
その生活にも慣れて、日々に余裕ができてきたことの事。

「霧姫!!」

ついに元親に見つかってしまった。

会社帰りに見つかることを考え、出勤時間、退社時間までもを全て変えたというのに‥…
まさか会社の入り口で待つようなことはしないと思っていた。

「やっと見つけたぜぇ、霧姫。会社が変わってないのが幸いだったな」

『‥…‥…‥…‥…』

「おい、何黙ってやがんだ!俺の前から無断で消えた理由、話してもらおうか?」

苛つかせた声のままそう言い霧姫の手を取ろうとした。
しかし、霧姫の異変に気づき手を引く。

「何、泣いてやがんだよ‥…」

霧姫は俯いたまま泣いていた。嗚咽も抑えがきかないようだ。もう、自分でも何が理由で泣いているのかはわからない。

『だって‥…元親‥うぅ‥』

「とりあえず、落ち着け。俺もお前に伝えたい事がある。どっか店にでも入ろうぜ」

『は‥ら、い‥ひっく‥…』

「わりぃ‥もう一回言ってくれ」

嗚咽を吐きながら言葉を言うので何を言っているのか聞き取れない。
そんな私に嫌気が差したのか元親は少し顔をしかめた。
しかし、元親は同じ質問をすることはなかった。
そのかわり、質問してきたのは別のこと。

「なぁ‥霧姫。おめぇは俺のことを嫌いになっちまったか?」

『きっ‥らい‥なら‥…泣かな‥いっ』

すると、心なしか安心にしたような顔になり

「なら、俺の話‥聞いてくれよ。な?」
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