守護霊でいず!!!

□落し物
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ある日、道で迷彩柄のミサンガが落ちているのを見かけた。
拾ったほうがいいかな‥…と手を伸ばすと

「霧姫!触るなっ!!」

切羽詰まった元親の声が聞こえて咄嗟に手を戻した。

『なっ何、元親?どーしたの?』

思わず振り向いて顔を見つめる。
細い目をいつもより細めてミサンガを睨む。

「それは憑き物だ。下手に触ると‥…」

「俺様みたいなのが主を奪っちゃうんだよ〜」

『?!!!』

急にミサンガから人が現れたと思った次の瞬間、グイッとオレンジ色の髪の男が私の肩を抱いていた。

「てめぇ離れろ!!ソイツに触んじゃねぇよ!!」

見たことない怖い形相で元親が怒鳴る。
すると、オレンジの男はニヤニヤと妖しく笑いつつ私をもっと強く抱く。

「へぇ‥大事にしてるんだ、この主。俺様、略奪しちゃおうかなぁ‥」

「ふざけんじゃねぇぞ!!」

えっと‥私を置いて話がどんどん先に行っちゃってるんだけど‥
今までの話をまとめると‥…
私が元親の主じゃいられなくなるってことね!!
‥…え?

『なんだってぇぇぇ!!』

「うわぁ!!」

驚いた男が私の肩から手を離すと元親に抱きすくめられ胸に顔を埋めさせられる。

『ぐぁ!くっくるしい‥…』

「誰だてめぇ!俺の主に手ぇ出しやがって‥
覚悟は出来てんだろーな!!」

元親が顔を凄ませながら言うとオレンジの男は慌てて弁解を始める。

「まぁまぁ怒らないで!!
1つの冗談だからさ!それに、俺様、ちゃんと主いるからね」

「なら、こんな所で落ちてねぇで主の所に行けばいいじゃねぇか!」

『それは無理だよ元親。
本体がここにあるじゃない』

彼の胸から脱出しオレンジの人にフォローを入れる。
守護霊は自分のアクセサリーの1キロ圏内は自分で行動できる。
だが、それ以上になると何処にも行けなくなるのだ。

「そーなんだよ‥俺様、困っちゃって‥‥
ねぇ、せめて交番まで持って行ってくれない?」

『それよりも来た道戻るとか、貴方の主の家に置いとくとかの方がいいんじゃない?』

「霧姫?!」

驚いたように元親が声をあげる。彼としては面倒事に首を突っ込むなと言いたいのだろうが私がそれを許さない。

『考えてみてよ元親。
もし私が落とした時誰にも助けられなかったらどーするの?』

「‥…チッ」

「ありがとう霧姫ちゃん!!
俺様は猿飛佐助!」

ニコニコと人懐っこい顔で笑顔を向けられた。
その顔を見て睨みつける元親。

「誰が、こいつの名前を呼んでもいいと言った?」

『え、そこ?』

「いいじゃん。俺様の主も呼び捨てにしていいからさ」

「てめぇの主なんざ呼びたくもねぇよ!!」

そんな感じで佐助が主と歩いた道を遡っていると‥…

「旦那!!!」

「佐助ぇぇぇぇ!!」

赤いいかにも熱血漢の人を見つけ走っていく。あれが主か‥

「うぉぉぉぉ!!もう二度と会えぬかと思ったぞぉぉ!!」

「俺様もだよ!
ちゃんと着けてないといけないって言っただろ?」

そんな光景を呆然と見ていた私達だったけど、思っていたことはきっと同じ。

佐助はオカンだ。絶対。


『元親。帰ろっか』

「挨拶はいいのか?」

『うん。なんかいい雰囲気だしね』

ふと差し出された彼の手。
何をしろと‥…思っていると

「てめぇが俺を落としそうだからな‥!!ほら行くぞ」

手を繋がれ強引に連れて行かれる。

元親の顔を見ると少し赤くなっていて‥
こんなところが可愛いんだよなと再認識した。

END
 

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