今日はなんの日?
□まだ見ぬあなたと
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少し意外だった。
だって十四郎さんは子供をあまり好きじゃないって言っていたから。
『‥子供。大丈夫なんですか?』
「あぁ?
‥…まァ苦手だけどよ。自分の子を可愛がれねェ程、俺は鬼になれねェよ。
俺と霧姫との子だろ?
可愛いに決まってるな。
禁煙は頑張らねェと」
『‥良かったです』
子供ができたと聞いたとき、もし十四郎さんが嫌そうな顔をしたりしたら‥
"堕ろせ"
その一言を言われたりしたら私は絶対立ち直れなかった。
そのことだけが不安だったんだ。
すると十四郎さんは私の不安を察したのか頬に手を伸ばしてくる。
その手が頬に触れ温かい言葉がかけられる。
「つまんねェことで気に病むな。
‥…子供が欲しくねェなら避妊するし、結婚もしねェ」
‥…何だろう。
彼の誕生日なのに私がこんな嬉しいことばかり言われてもいいのかな‥
『十四郎さん、ありがとうございます。
私ばっかり優しくしてもらってすいません‥』
すると目をいつもより細め軽く微笑まれる。
「馬鹿ヤロー‥
俺は霧姫を甘やかすことができればいいんだよ」
すごい嬉しい言葉をかけてくれる彼を見て、来年この日を迎える時には家族が一人増えているのかなと楽しみになった。
(鯉のぼり買わねェとな)
(女の子かも知れませんよ?)
(女に鯉のぼりを買い与えても別にいいだろ。
鬼の副長の子供だ、強いやつに育てるぜ)
(十四郎さんに似ると男の子でも女の子でもモテモテになりそうですね)
(女なら霧姫に似た子だろうな。
きっと可愛いだろうぜ。
まぁ嫁にはやらねェけど)
(‥この子の意思を尊重してくださいね?)