シザンサス

□12,晴れ渡る空
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その日、ジャヤでは、島中のサウスバードが一斉に飛び立ったそうだ。

400年の時を超えて鳴り響いた、鐘の音に惹かれるように。




黄金の鐘が鳴り響いてからしばらく。

コニスの働きかけで青海へ避難しようとしていた空の者たちが、続々と戻ってきた。

しかし、家も島もエネルに消されている。

仕方なく、彼らはアッパーヤードへと船首を向けた。

久々であったり初めてであったり、人々は土をすくっては涙を流す。

エンジェル島民も、シャンディアの民も……










その頃、戦いの最前線であった場所では。

「ダメだ!すぐ手当てしないと!」

上層にいた面々が下層に降りてきて、チョッパーがゾロの治療をしようとしていた。

ゾロは遺跡の壁に背を預けて座り、ティオもその隣に座っている。

「……俺は後でいい」

「何をっ」

「俺よりアレ、何とかしてやれ。死んじまうぞ」

ゾロの視線が向く先には……

「!」

ワイパーがいた。

さすがに気を失っているらしい。

チョッパーは一目散に駆け出す。

「本当だ! ……骨までボロボロっ、えらいこっちゃ!」

ゾロの元にサンジがやってきた。

「おいアホ剣士、ありゃゲリラじゃねぇか。キリねぇぞ?」

「誰がアホだ。……俺にもよく分からねぇが、何やら必死だったんで」

「ぁあ? 何だそりゃ。同情か?」

「……さぁ」

チョッパーが急いで治療を進めていく。

アイサが心配そうに近づいた。

「ねぇ、治る? たぬきちゃん」

「トナカイだ! ホラ、角!」

チョッパーは必死に両手を動かす。

「大丈夫だ。命は取り留める」

「ありがとう!」

そんなやり取りを聞くティオは、半目で うとうとしていた。

小さなあくびを一つすれば、ポンポンと、ゾロに軽く頭を叩かれる。

「眠いなら寝てろ」

「(コクン)」

ティオはゾロに寄りかかり、すぐに小さな寝息を立て始めた。

それを、ロビンが微笑みながら見つめる。

「結局あれか? 黄金の鐘も、エネルの金ピカ船も……」

サンジがタバコの煙を吹きつつ訊くと、ウソップがため息混じりに答えた。

「あぁ、落ちたんじゃねぇか?」

「黄金郷とは言うが、今や名ばかりか……」

ゾロが皮肉めいた笑みを見せる。

「俺たちの貧乏航海は続くわけだ」

すると、満更でもないと言いたげにウソップが笑った。

「俺は黄金もいいけど、あのダイヤルが欲しいな〜! 青海に戻ったら手に入らねぇし!」

「それにしても、ナミさん大丈夫かな〜……コニスちゃんもどこにいるのやら……」

話しているうちに、ワイパーの治療を終えたチョッパーが、ゾロの元へやって来た。

「あっちはもういいのか?」

「うん。あとは安静にするだけだ」

話しながら、テキパキとゾロの治療をしていく。

続いて、眠ったままのティオの治療もした。

するとそこに……


「お〜〜〜いっ!!」


我らが船長の声が聞こえてきた。

「……ん」

ティオが目を覚ます。

ウソップとサンジが大きく手を振った。

「ルフィ〜〜!!」

「ナミすわ〜ん! コニスちゅわ〜ん!」

ルフィ、ナミ、コニス、スゥが、巨大な袋を担いで走ってくる。

ルフィは、口に肉と魚をくわえていた。

「皆さん、ご無事でよかった! 私、心配で、だけど何もできなくて……っ」

涙ながらにコニスが言うと、サンジが目をハートに変える。

「コニスちゅわ〜ん! そんなに俺のことぉぉっ!」

すかさず"ベシッ"とウソップがはたく。

「違うだろ」

「その袋、食料か? どうしたんだ」

ゾロが訊くとナミが嬉しそうに答えた。

「森の途中で、神官たちの食糧庫見つけたのよ!」

「まだまだあったぞ〜!……モグモグ」

「しっかしお前ら、よくあの高度から……」

ウソップが呆れ顔をすると、ルフィがニカっと笑う。

「ゴムゴムの風船だぁ!」

そこで、ゾロがあることに気付いた。

「そういやコニス、親父は?」

「え……」

突然、コニスの表情が曇る。

「……それが、私を庇って……エネルにっ」

話によれば、パガヤは逃げてきた神兵と一緒に、神の裁きを受けたとか。

「まさか……」

「コニスちゃん……」

「コニスさん……」

「コニス……」

「「「ってオメェの話だよ!」」」

麦わら一味が揃ってツッコミを入れる。

もちろんその矛先はパガヤ本人。

いつから混ざっていたのか……

「え、あ、生きててすいません!」

「父上!」

コニスはパガヤに抱きついた。

パガヤは、コニスを慰めながら、一味に今までのことを話す。

「……下層の白海に?」

「えぇ。気がついたら叩き落とされていまして。今ちょうど、クラウドエンドへ向かって下層に降りていた人々が、ミルキーダイヤルで白々海へ戻ってきているところで…しかし、帰るべきエンジェル島がなくなってしまったもんですから、皆この、アッパーヤードに向かっているのです」

その後、コニスとパガヤは一度、エンジェル島民たちの元へ帰っていった。

 
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