デュランタ

□6,四柱守護
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「……」

現世出向部隊の一員として、現世に出た一角は、任された四柱の上で、しゃがんでいた。

不穏な風が、頬を撫でていく。

頭の中は、つい先ほど会ってきた、紫月の姿で埋まっていた。

(……アイツ、最近変だよな)

いつも、夢中になって薬を捏ね回しているくせに。

前回、現世に出向し、破面(アランカル)と対峙して大怪我した時も、今日も、様子が変だった。

「……つーか、何で気にしてんだよ」

別に紫月に何が起こっていようと、何を考えていようと、自分には関係ない。

自分たちはただの、十一番隊と四番隊、戦闘員と救護担当の関係なのだから。

「は〜〜〜…」

ただ、モヤモヤするのは確かだ。

けれど、考えたって分からないし、考えるのはそもそも苦手だ。

「訊いちまった方が早ぇか」

この戦いを終えて、生きて帰ることができたら、そのときにハッキリさせよう。

そう思って、立ち上がった、そのとき…


"バキャァッ"


背後で空の割れる音がした。

振り向いてみれば、人型ではない、低級の破面(アランカル)が出てくる。


"ウオオオォォォ…"


一角はニヤリと笑みを浮かべた。


"ザンッ!"


素早く斬魄刀を始解し、破面(アランカル)を斬り伏せた。

「ヘッ、こんな低級を寄越すたァ、俺らもナメられたもんだな」

すると…


"ヒュオッ、ズンッ"


先程より高い霊圧が、目の前に降ってきた。

「お、来やがったな、新手が」

一角は目の前の破面(アランカル)を見上げる。

「随分とデケェな。見掛け倒しじゃねぇことを祈るぜ?」

破面(アランカル)は、一角を虫けらのように見下ろした。

「祈る? 何にだ。貴様ら死神に、神などあるのか?」

そういわれると、一角はキョトンとまばたきを繰り返し、視線を彷徨わせた。

「…何に? ……そういやそうだな…特に祈る相手なんか居ねぇや…。いよォし分かった! 何でもいいや! オメェんとこの神にでも祈ってやるよ!」

「…そうか。ならば問題ない。貴様と私では勝負にならぬということは、我が神である王が、誰よりも理解しておられる」

「……ほォ」

一角は、始解した鬼灯丸で肩をポンポンと叩きながら、相手の出方を窺った。

(図体がデケェところを見ると、力押しのパワー系か?)

破面(アランカル)は、無表情に、腕を振るってきた。

"ヒュオッ"

「おっと…」

一角は軽く飛んで躱した。

続けて、破面(アランカル)は何度も腕を振ってくる。


"ビュッ、フォンッ、ヒュオッ、ヒュンッ"


一撃一撃、空を切る重たい音はするものの、速度が遅く、一発も当たらない。

「何だ何だ? 一撃も当たんねぇぞ?」

一角は挑発するように、大げさにピョンピョン跳ね回る。

そのとき

「……?」

何だか、遠くで笑い声が聞こえた気がした。

「…何だ? なんか弓親の爆笑する声が聞こえたような……んなワケねぇか、戦闘中に」

実は、敵の妙な姿を前にして、本当に爆笑していたのだが、一角には知る由もない。


"ヒュオッ"


「おっ、とォ」

相も変わらず、当たらない攻撃を繰り出し続ける破面(アランカル)

「トロいっつってんだろ? 腕力だけじゃ、喧嘩にゃ勝てねぇぜ?」

「……」

一角に煽られても、顔色一つ変えない破面(アランカル)

(…不気味な野郎だな。何考えてるか分かりゃしねぇ)

一角は警戒を怠らず、振り上げられた破面(アランカル)の腕を見上げた。

そして、ハッとする。


"ヒュオッ、ドゴォッ"


「が…ぁ……っ」

咄嗟に鬼灯丸でガードしたが、受けきれず、四柱に叩きつけられた。

(な、何だこの野郎っ、いきなりパワーが上がりやがった……っ)

「そんなものか? お前の力は」

「っ……フン、ナメんじゃねぇよ。まだまだこれか―――


"フォンッ……"



"ドゴォッ"




 
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