シザンサス

□41,麦わら一味再集結
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その頃、サニー号には……

「久しぶりね、サニー号。……2年間も待たせてごめんなさい? 無事で良かったわ」

ちょうど、ロビンが到着していた。

「ん? ア〜〜〜ウ!」

「?」

船内から、聞き間違いようのない声が響いてくる。

「そこに居るイ〜イ女は、我が一味のスーパ〜考古学者、ロビンじゃねぇかよ〜ゥ!」

ガシッと両腕を合わせ、星のマークを重ねるフランキー。

ロビンは笑って答えた。

「ふふ、変わらないわね、フランキー」

「変わっただろ馬鹿野郎! 俺の体に詰まった、男のロマンに括目せよ! ……見ろ、この空前絶後のモデルチェンジ。もはや俺は、人智を超えた!」

「そうね。もう人として接することは出来なさそう」

「ん〜? オ〜イオイ、そりゃあ変態って意味か〜? この褒め上手〜!」

ロビンはフランキーのノリを軽くかわして、サニー号に乗り込んだ。


"ブニョン……"


足元が揺れる。

「あら、これがコーティングなのね?」

「あぁそうだ。凄げぇもんだぜ、レイリーの腕は。これで深海までまっしぐらだ」

「レイリーたちには会ってきたわ」

「オメェで何人目だった?」

「8人目よ。あとは、ティオとルフィだけみたい」

「そうか。新たなる船出の時は近けぇな」

「他の皆はどこに?」

「ウソップとサンジは一度ここへ来てる。ウソップは燃料、サンジは食糧の調達だ」

「そう。……実はここへ来るとき、こんなものを見たんだけど」

ロビンは紫のリュックから、ポスターを1枚取り出す。

『SOUL KING』と大きく書いてあり、ブルックとしか思えない骨の顔が載っていた。

「あぁ、ブルックに間違いねぇ。……アイツは霧の深い闇の海から、光の下へ上り詰めた。もしかしたら……もう海賊に戻ってくる気はねぇかもしれねぇな」

「そうなのかしら……」

と、そこへ……

「お〜いフランキー!」

ウソップの声が聞こえてきた。

フランキーとロビンは欄干に寄る。

「お、帰って来たな? ナミとチョッパーも一緒か!」

「ふふっ、3人とも無事で何より」

フランキーを見た瞬間、チョッパーの目が輝いた。

「んなっ、あれは、まさかっ……」

ウソップはチョッパーとフランキーを交互に見て、得意げな顔をする。

「あぁそうか、チョッパーは2年後のフランキーに会うのは初めてか。近くで見たらもっとスゲェぞ!」

居ても立っても居られないチョッパーは、ボンチャリから飛び降りて、サニー号の甲板へと登っていった。

「ア〜ウ! 久し振りだなチョッパー!」

「うおおおおっ!! スッゲェェェェ!! お前ロボじゃ〜ん! ビーム出んのかよ〜! ミサイル出んのかよ〜! 何と合体するんだよ〜!」

息つく間もなくフランキーを褒めちぎるチョッパーを、後から登ってきたウソップが引き留める。

「落ち着けチョッパー! 興奮で死んでしまうぞ〜!」

フランキーはポーズを決め、熱く語った。

「そう……男たちの夢と感動を乗せて、今! アイツが動き出す! そいつの名は〜っ、"アーマードおれ"!」

……などと、バカ騒ぎする男共を後目(しりめ)に、ナミはロビンのところへ登ってきた。

「ロビン! 久し振り〜!」

「ふふふ、元気そうね。さっそくショッピング?」

「あったり前よ〜! ロビンにもティオにも買ってきたから!」

「あら、ありがとう」

「ティオがどのくらい身長が伸びてるか分からないから、とりあえず片っ端から買ってきちゃったのよね〜」

「ふふっ、着せてみるのが楽しみね」

「……で、何の珍プレーなの? アイツの体は」

ナミがジト目でフランキーを見ると、ロビンも肩をすくめる。

「さぁ。理解できないわ」

ウソップとチョッパーは、変わらずフランキーのニューボディに夢中だ。

「アウ! 俺の鼻を押してみろ」

「鼻〜ァ?」

「長押しだ。3秒いじょ……サンビョウイジョウ、オシテクダサイ」

「言い直した! ロボのように!」

ワクワクしながら、ウソップとチョッパーはフランキーの鼻を3秒間押す。

すると……


"ボフッ"


坊主だったフランキーの頭に、髪の毛が飛び出てきた。

「出たァ! 毛〜!」

「自在か!? 髪型!」

「自在だ! ……ん? よォ、ナミ!」

「ハイハイ……。2年間何してたのアンタ」

別に興味もないけれど、口から出るままに呟く。

そのとき、ナミとロビンの頭上を、何かの影が通り過ぎた。

「「?」」

2人が見上げれば、太陽の光の中、濃紺の小鳥が降りてくる。

よく知っているその姿に、自然と表情が綻んだ。


"バサッ……ボンッ!"


懐かしい羽音と、立ち上る煙。

潮風に煙が攫われると、金髪の少女が姿を現した。

「「ティオ!」」

着地姿勢から身を起こしたティオは、2年前と違って結っていない長い髪を、肩から払いのける。

「ひさし、ぶり。なみちゃん、ろびん」

ナミが溢れる喜びのままに抱き着いた。

「ホント久し振り〜! なぁに? ちょっと見ないうちに大人っぽくなっちゃって〜!」

「うぶっ……なみちゃんも、そだった、ね……」

ティオは、豊満な胸に顔を埋められ窒息しそうになる。

一方、ナミは違和感を感じて首を傾げた。

「ん……? ティオ、あんた背 縮んでない?」

ぷはっ、と胸の谷間から脱出したティオは、2年前と変わらない青い瞳で、ナミを見上げる。

「なみちゃん、のびた、だけ」

「そりゃまあ、あたしも少し伸びたけど……」

育ち盛りのティオの方が伸びるはず……

……と、口に出す前に、来訪者の声に遮られた。

「君達」

声のした方へ振り返れば、レイリーとシャッキーの姿が。

ナミが大きく手を振った。

「レイリーさん! シャッキー!」

 
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