シザンサス

□41,麦わら一味再集結
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ところ変わって、ショッピングモール街。

「だから、もっと負けなさいって言ってるのよ」

「こっ、困りますお客様……これだけの商品を付け値の半額とは……」

ナミを相手に、店のオーナーは冷や汗をダラダラと垂らしていた。

ウソップが呆れ顔で割り込む。

「おいおいナミ、服なんて魚人島でも買えるだろ? 今は燃料をだなぁ……」

「ダ〜メ」

ナミはどこかから大量の衣服を持ってきて、レジに山を作った。

「はい、これも買ってあげるから、9割引きでヨロシク」

「いやああああっ!!」

「おいおい、2年で値切り交渉もパワーアップかよ……」


……結局、オーナーはナミの交渉に押し負け、大量の服を9割引きで売ることになった。

2人は大量の荷物をボンバッグに詰め込んで、ボンチャリで走り出す。

近場で燃料も安く買えたため、ウソップもホクホク顔だ。

「よ〜し、とりあえずサニーに戻るか」

「そうね。そろそろみんな集まってくる頃だろうし」

と、話しながらペダルを漕いでいると……


「ロビ〜ン! ……ぐすっ、何だよみんなっ、一体どうしちゃったんだよ……ロビ〜ン! どこだ〜!」


何かを探すような声と、蹄が土を蹴る音が聞こえてきた。

ウソップはボンチャリを操縦しながら、チラリと見る。

何だか見覚えのあるような、けれど少し大きなトナカイが、通りの真ん中を走っていた。

「ん? なぁナミ、あれってもしかして、チョッパーじゃねぇか?」

「え?」

ナミも同じ方を見た。

「あらホント、チョッパーだわ!」

ウソップは満面の笑みで手を振る。

「お〜〜いチョッパー!」

すると、トナカイが立ち止まってこちらを見た。

「え……あれ、ウソップ?」

ウソップはチョッパーの目の前で、ボンチャリを止める。

「でかくなったなぁチョッパー! こりゃ乗り心地も割り増しだな!」

ナミもチョッパーに抱きついた。

「ホントふっかふか〜! 久しぶりね、チョッパー!」

チョッパーは、ぱちぱちとまばたきを繰り返す。

「……もしかして、ナミか?」

「ん? そうよ?」

「え、でもさっき……じゃなくて! 再会は嬉しいけど、ロビンが大変なんだよ!」


ひとまず。

チョッパーはボンチャリに一緒に乗り、ナミとウソップに、今までの出来事を話した。

その話に、2人は呆れる。

「えっ、アイツら全員ニセ物!?」

「当たり前だろ……」

「だからナミが2人いんのか!?」

(あき)れた……。ロビンは世界政府から20年も逃げ延びたのよ? 袋に詰められて連れてかれるなんて、考えられない」

「そうか、何か違うとは思ったんだ! 懐かしい匂いもしねぇし、俺にキュウリ渡してくるし……ん、何か腹立ってきたぞ! アイツら俺たちに成り済ましやがって! まるで本物の俺たちが、有名人みたいじゃねぇかよ〜、えへへへっ」

「喜ぶとこじゃないでしょ……。まぁ、偽物が現れるのは、それだけ船長が有名になった証だから、しょうがないけどね」

「俺サイン考えとこっかな〜」

「俺はもう考えてあるぜ?」

「ホントか!」

「あのねぇ、アタシたち、悪い意味で有名人なのよ?」

「サイン〜サイン〜」

「……聞いてないか」






再び、ところ変わって、市場。

「俺は海岸へ行きたい。釣りをしてぇんだ」

「ダメだクソ野郎!」

ゾロとサンジは、通りの真ん中で大喧嘩を繰り広げていた。

「ぁあ? 何故俺がテメェの言うことを聞かなきゃならねぇ!」

「俺が好きこのんでテメェと歩くわけねぇだろ! めんどくせぇんだよ! 今から島を徘徊されると! ティオちゃんとまだ合流出来てねぇ今、テメェとはぐれたが最後、何日もこの諸島を探し回らなきゃならなくなるんだっつの、この迷子マリモ! じき全員集まるから、黙って俺と船に来い!」

「チッ……は〜ぁ……7番が1番に偉そうにすんじゃねぇよ」

「なっ、来た順番でランキングしてんじゃねぇよ!」

「あぁ悪かった、7番」

「ぐぬっ……よーしオロしてやる! 2年間地獄で鍛えたこの足で!」

「上等だコルァ! 真っ二つにしてやる!」





一方その頃。

大喧嘩を繰り広げる2人の、ニセ物の方はというと……

「はぁ、はぁ、船長も人使い荒いぜ〜……」

「はぁ……はぁ……横っ腹イタイ……」

チョッパーを連れ戻して来い、との船長命令で、街中を走り回っていた。

本物の2人ほど体力が無いため、すぐにバテる。

「はぁ……はぁ……ん? おい、アレ見ろ」

「はぁ…はぁ……ぁあ? あ、でかいリュックの男……」

「あれが船長の言ってた……」

道の向こうから歩いてくる、細身で背も低い男。

だが、その背中には、小柄な体格に似つかわしくない、とんでもなく巨大なリュックを背負っていた。

「ん?」

男が、ニセのゾロとサンジに気づく。

「あ、お前ら!」

2人はその男に睨みを利かせ、歩み寄った。

「よ、よぉ兄ちゃん、ちょっとツラ貸してもらうぜ〜?」

「船長はだいぶお冠だからな、残念だが長生きは諦めろ」

すると……

「やっぱりゾロとサンジだな!? 久しぶりだなあお前ら!」

「え? お、おう、久しぶり……?」

ニセの2人の予想を覆し、小柄な男は親し気に話しかけてきた。

「おいっ、何言ってんだコイツ!」

「るっせぇ知るか! 本物と知り合いなんじゃねぇか? 勘違いしてる今のうちに連れてくぞ、船長ンとこ!」

「お、おう……」


「ま、まぁとにかく行こうぜ!」

引きつった笑顔を向ければ、リュックの男は目を輝かせる。

「何だ、みんなもう集まってんのか? いや〜待たせちまって悪かったな〜!」

「え、あ、おう……」

2人はぎこちなく、リュックの男を連れて、仲間たちの元へ戻っていった。

 
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