シザンサス

□41,麦わら一味再集結
2ページ/10ページ



その頃。

諸島中心部の遊園地、シャボンディパークでは……

「んめ〜ぇ! やっぱグラマンは最高だな〜」

水色のヘルメットのような帽子をかぶった、ぬいぐるみと見紛う生き物が歩いていた。

そんな珍生物は世界でただ一匹、チョッパーだけだ。

「えへへへっ、みんな元気かな〜、早く会いてぇな〜! ……ん? 何か騒がしいな」

見れば、人だかりができている。

「お、おいアレ見ろ!」

「噂は本当だったんだな……」

「この島に今、麦わら一味が上陸してるってのは……」

チョッパーの耳がぴくっと動く。

「麦わら一味!?」

チョッパーは人を掻き分け、前に出た。

そこにいたのは、緑頭の男、金髪の男、黒髪の女。

「ゾロ! サンジ! ロビ〜ン!」

チョッパーは目を輝かせて走り寄った。

「「「?」」」

3人はチラリと振り向く。

「……おい、何か喋るタヌキみてぇなのがついて来てるぞ」

「いやいや、タヌキが喋るか……?」


「ゾロは、集合場所に1番についたんだってな! ティオが一緒じゃねぇのによく道に迷わなかったなぁ。サンジとロビンも、やっと着いたんだなっ?」

「……関わると面倒そうだ。無視無視」

3人は歩調を速めた。

「え、おいっ、待てよぉ!」

チョッパーは慌てて3人の後を追いかける。

「なぁなぁ、ゾロ! サンジ! ロビン! 久しぶりに会ったのに何で喋らねぇんだ? どうしたんだよ〜! 2年の間に、ゾロとサンジは仲良しになったんだな!」

「……おい、あのタヌキ、妙に俺ら麦わら一味のことについて詳しくねぇか?」

「俺もさっきからそれが気になってたんだが……これ見てみろ」


金髪の男が、懐から手配書を取り出す。

「たぶん、本物の"綿あめ大好きチョッパー"、50ベリーだ。きっと2年前の事件で、この島に捨てられて、ずっとノラで生きてきたんだよ」

「俺たちのこと、主人が帰って来たと思ってんだな。……んじゃ、今連れてるそのキツネ捨てて、アレを連れてこうぜ? 本物連れてた方が信憑性が上がる。……おい、ニコ・ロビン」

「え、飼うの? 餌は? あのタヌキ何食べんの?」

「綿あめだろそりゃ」

「無いよそんなの」


黒髪の女は、ペットのように連れていたキツネの鎖を離し、蹴り飛ばした。

「アンタはさっさとどっか行きな!」

そして、どこからかキュウリを取り出すと、チョッパーの前にしゃがむ。

「え……ロビン……?」

「おいでチョッパー。キュウリよ」

「コンコ〜ン!」

"ガブッ"

いきなり追い払われ、怒ったキツネが、黒髪の女の頭に齧りつく。

頭から血を流しながら、キュウリで自分を釣ろうとしている黒髪の女に、チョッパーは青ざめた。

「ロビン怖っ!」

と、そこへ……

「今だ!」

「一気に行け!」


"バサァッ"


黒いスーツの男が2人走って来て、黒髪の女を袋に詰めて、走り去っていった。

「うわっ、ロビン!?」

「ちょちょちょいっ、ニコ・ロビン!?」

「おいおい……」

チョッパーは、緑頭の男と金髪の男に訴えかける。

「大変だ! ロビンが攫われちまった! きっと人攫いだ!」

「お、おい、ルフィ船長に報告した方が良くないか?」

「えっ、お前らルフィに会ったのか!?」

「そ、そうだな、仲間も集まってるはずだしなぁ……」

「そうだな! 早くロビンを助けねぇと! 俺もみんなのところへ案内してくれよ!」

「「お、おぉ……?」」





緑頭の男と金髪の男は、チョッパーを連れ、自分たちの仲間の元に合流した。

途端、チョッパーは目を輝かせる。

「ルフィ! フランキー! ナミ! それにっ、そげキングまで!」

「ぁあ?」

「みんな2年で何か変わったな! 強くなったんだろうな〜! あとはウソップとティオとブルックか〜!」

「あ〜、すんません船長、実はニコ・ロビンが攫われまして……」

「ぁあ!? 何だと!?」

「そうなんだよルフィ! また人攫いかもしれねぇんだ! ケイミーのときみたいに! だから早く、ロビンを助けに行かねぇと!」

麦わら帽子の男は、何だこのタヌキ、と思いつつ、金髪の男に訊いた。

「一体どこのどいつだ!」

「それが分からねぇんですが……おそらく、本物のニコ・ロビンに恨みのある連中かと……」

「うん? 何だよ、コソコソ話すなよ!」

「せっかく顔のそっくりな奴を見つけたと思ったんだがな……まぁいい。ほっとけ」

「「「ええっ!?」」」

「なん、だって……?」

チョッパーは目を見開く。

「おい何言ってんだよルフィ! ロビンが攫われたんだぞ!? 冗談だよな!? けど冗談でも、そんなこと言うなよ! なぁルフィ!」

「チッ、さっきから何なんだ、この喋る動物は。うるっせぇなぁ!」

"ドカッ"

「うわっ」

麦わら帽子の男は、チョッパーを弾き飛ばした。

「そんなことよりもだ! この島で集めた100人の海賊たちを、46番グローブへ集めろ! 鼻の長げぇ男、長い髪の女、でかいリュックの男……この3人を探し出して、この麦わらのルフィに逆らったことを後悔させてやるんだ!」

「「了解!」」

「ふふっ、麦わら一味の恐ろしさを教えるには、ちょうどいいかもね!」

「よしっ、行くか!」

チョッパーは愕然とする。

「ちょっと待てよ、お前らっ……2年で心まで変わっちまったのか? ……ぐすっ……お前ら見損なったぞ! 俺1人でも、ロビンを助けに行ってやる!」

滝のように涙を流し、チョッパーは駆け出した。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ