シザンサス

□映画:STRONG WORLD
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数日後。


「どわあああぁぁぁぁっ!!」

島に無事に落ちたルフィは1人、ジャングルの中で逃げ回っていた。

背後には、ワニとカメレオンを足して2で割ったような生き物。

しかも体長10mはありそうだ。

「くそっ、もっと広いとこに出ねぇと!」

ルフィは近場の樹に手を伸ばした。

「ゴムゴムのっ、ロケットォ!」

慣れたように空へ飛び出し、開けた広い場所に降り立つ。

「よ〜しココなら…」

と、拳を構えて振り向くが…


"バキッ、メキメキッ"


「んぇ、アレぇ!? タコォ!?」

てっきりワニもどきが出てくると思ったが、何故か出てきたのはタコ。

しかも、ワニもどきの3倍は大きい。

「ヤベっ」

ルフィは一目散に逃げ出した。

すると、前からまた別の敵が現れる。

「げっ、何だアレ、でっかいカマキリ!?」

巨大カマキリは、ルフィ目掛けてカマを振った。

"シャキンッ"

「ぅおっ」

ルフィは前のめりにコケて、ゴロゴロ転がっていく。

「$#&%@#%&〜〜ぼぇっ」

ビタンっと顔面を強打したところで、やっと止まれた。

「っくしょ〜っ! 何なんだ次から次へと!」

顔を上げ、カマキリの方を振り向く。

と、カマキリはタコと戦っていた。

"シャキキキキキンッ!"

タコの足が、見事なぶつ切りになる。

「うわっ、ゾロみてぇだ!」

タコは分が悪いと悟ったのか、一目散に逃げ出した。

しかしカマキリは逃がさない。

逃げるタコの背後から突撃し、カマを振り抜いた。


"シュッ…ドゴォッ!"


ジャングルに突っ込んだタコは、そのまま気を失う。

勝利したカマキリは、高らかに雄叫びを上げた。

…すると。


"ガシッ"


黒いモフモフの大きな両手が、カマキリを後ろから掴まえた。

モフモフの正体は、腕の長いクマ。

クマはそのまま、カマキリにバックドロップを決めた。


"ドゴォッ!"


頭から地面に突っ込んだカマキリは、そのまま気を失う。

クマの勝利だった。


「ぅはぁ〜、次から次へとすんげぇなぁ」

ワニ、タコ、カマキリ、クマ。

ルフィは巨大動物たちの戦いを、ポカンと見つめていた。

すると、次なる敵を探していたクマと、目が合う。

「ん、にゃろうっ、ヤル気か!」

ルフィが立ち上がって拳を構えると、クマは闘牛さながらに突進してきた。

「ゴムゴムのォっ、ピストル!」

超速で伸びた腕。

しかし、クマはその巨体からは想像もつかないほどの敏捷さで、ルフィの拳をよけた。

そのまま、ルフィ目掛けて腕を振る。

"ヒュォッ、バキッ"

「うわああぁぁぁっ!」

ルフィはジャングルの方へ飛ばされた。

「っ…くっ、そうだった、ここの動物はナメちゃいけねんだよな!」

近場の樹に左腕を巻きつけ、右手の親指を噛む。

「ギア・3rd! 骨風船!」

指に息を吹き込みながら、クマの方へと飛び出した。

「ゴムゴムのぉっ、巨人の銃(ギガントピストル)!」

巨人族並みに巨大な拳が、クマ目掛けて飛んでいく。

クマは、思わずその場で立ち止まった。

そして逃げようとするも、遅く…


"ヒュォッ、バキィィッ!"


遥か彼方へ吹き飛ばされた。

そしてルフィは…

「ひはびぶべはぼぱぴはぺぼぱぁ〜!」

技の影響で、しぼんでいく風船さながら、空へ舞い上がっていく。


…やがて空気が抜けきると、重力に任せて落ちてきた。


"ボフンッ"


落ちた先は、先ほどカマキリにやられたタコの上。

「んにっ、ぷはぁ〜っ、危なかったぁ」

チョッパー並みに小さくなったルフィ。

「この技使うと小っちゃくなんのが厄介だなぁ。……んぉ、このタコ美味(ウマ)そーだ」

ちょうど小腹も空いてきたことだし。

ルフィは近場の小枝を拾い集め、焚き木をすることにした。







一方で。

「かなり古い遺跡ね」

「呑気に遺跡調査してる場合かよ」

「皆さん、無事ですかねぇ…」

ロビン、フランキー、ブルックは、幸いにも近くに落ちたため、3人一緒に行動していた。


"ズズン…ッ"


「おや? 何でしょう、今の音…」

言って、この辺りで一番立派な遺跡を見つめるブルック。

フランキーが鼻を鳴らした。

「知るかよ、オラ、さっさと行くぞ」

「えぇ、はい…」

ブルックは気になるのか、遺跡から目を離さない。

すると…


"カサカサカサカサ…"


小さな足音のようなものが聞こえてきた。

それも大量に。

やがて、その足音の正体が見えてくると、ブルックはあんぐりと口を開けた。

「ひぁぁあああっ!?」

「「!?」」

ロビンとフランキーが振り向く。

「ひいいぃぃっ」

ガクブル震えるブルックの正面には、アリのような小さな生き物の大群。

数百匹か数千匹いるであろうその大群は、まっすぐ三人の方へ向かってきた。

「今度はアリか!?」

「いやああっちょっと来ないでぇ!」

ブルックはその場で身を縮こませた。

しかし…


"シャカシャカシャカシャカ"


アリたちはブルックを素通り。

「……ぇ、アレ?」

「ちっ、狙いはこっちかよ!」

フランキーは左手をパカッと開けて、アリたちに風来砲(クー・ド・ヴァン)を撃とうとした。

ロビンが冷静に訊く。

「フランキー、あなた燃料切れじゃなかったの?」

「ぁん? ……ぬぁっ、そうだった!」

と、そのとき。


"ザバァッ!"


近場の川から、巨大な魚が飛び出してきた。

フランキーとロビン目掛けて突進してくる。

「今度は何だっ」

2人はひと跳びして魚をよけた。

"ザバァッ"

魚は水に入ると、辺りを旋回し始める。

「もう一度来るわよ」

「ひぃぃっ、もう嫌ですこんなとこ〜!」

"ザバァッ!"

ロビンの予想通り、魚はもう一度飛び出してきた。

フランキーが舌打ちしながら拳を構える。

しかし…


"シャカシャカシャカシャカ"


アリたちの方が早く反応した。

大群は一斉に魚に飛びかかり…


"ガジガジガジガジガジッ!"


「「「 ! 」」」


アリの大群を通り抜けた魚は、見事に骨だけになっていた。

"ザパァ…ッ"

川に魚の残骸が浮かぶ。

それを見て、ブルックが一言。

「あ、一緒…」

「…フン、そういうことか。おいブルック」

「はい?」

「オメェが狙われねぇ理由が分かったぜ」

「理由?」

「オメェには、食えるがねぇ」

「あーそういう……って、ちょっと失礼じゃないですかぁ!?」

怒りで骨を赤く染めたブルックは、仕込み杖から剣を抜き、アリたちの方へ駆け出した。


"フォンッ、フォンッ"


風を切るような音を響かせた後、ブルックはゆったりと3歩歩く。

終わったな、と、フランキーとロビンは歩き出した。


"シャカシャカシャカシャカ"


アリたちは変わらず、フランキーとロビンを狙っている。

「鼻唄三丁…」

ブルックの剣が、杖の中に収められていく。

矢筈切(やはずぎ)り!」

"チャキンッ"

"ズォォォォァァァァアアッ!"

アリ1匹1匹につけられた傷が、一斉に開いた。

アリたちは、フランキーとロビンを咀嚼することが叶わぬまま、絶命していく。

「…確かに骨張った私ですけど、今興味あることがあるんですよね」

「ぁん?」

「部分痩せ」

「……」

「……」

呆れ顔のフランキーと、無表情のロビンは、その場にブルックを残して、先へ進んだ…

 
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