シザンサス
□映画:STRONG WORLD
4ページ/18ページ
数日後。
「どわあああぁぁぁぁっ!!」
島に無事に落ちたルフィは1人、ジャングルの中で逃げ回っていた。
背後には、ワニとカメレオンを足して2で割ったような生き物。
しかも体長10mはありそうだ。
「くそっ、もっと広いとこに出ねぇと!」
ルフィは近場の樹に手を伸ばした。
「ゴムゴムのっ、ロケットォ!」
慣れたように空へ飛び出し、開けた広い場所に降り立つ。
「よ〜しココなら…」
と、拳を構えて振り向くが…
"バキッ、メキメキッ"
「んぇ、アレぇ!? タコォ!?」
てっきりワニもどきが出てくると思ったが、何故か出てきたのはタコ。
しかも、ワニもどきの3倍は大きい。
「ヤベっ」
ルフィは一目散に逃げ出した。
すると、前からまた別の敵が現れる。
「げっ、何だアレ、でっかいカマキリ!?」
巨大カマキリは、ルフィ目掛けてカマを振った。
"シャキンッ"
「ぅおっ」
ルフィは前のめりにコケて、ゴロゴロ転がっていく。
「$#&%@#%&〜〜ぼぇっ」
ビタンっと顔面を強打したところで、やっと止まれた。
「っくしょ〜っ! 何なんだ次から次へと!」
顔を上げ、カマキリの方を振り向く。
と、カマキリはタコと戦っていた。
"シャキキキキキンッ!"
タコの足が、見事なぶつ切りになる。
「うわっ、ゾロみてぇだ!」
タコは分が悪いと悟ったのか、一目散に逃げ出した。
しかしカマキリは逃がさない。
逃げるタコの背後から突撃し、カマを振り抜いた。
"シュッ…ドゴォッ!"
ジャングルに突っ込んだタコは、そのまま気を失う。
勝利したカマキリは、高らかに雄叫びを上げた。
…すると。
"ガシッ"
黒いモフモフの大きな両手が、カマキリを後ろから掴まえた。
モフモフの正体は、腕の長いクマ。
クマはそのまま、カマキリにバックドロップを決めた。
"ドゴォッ!"
頭から地面に突っ込んだカマキリは、そのまま気を失う。
クマの勝利だった。
「ぅはぁ〜、次から次へとすんげぇなぁ」
ワニ、タコ、カマキリ、クマ。
ルフィは巨大動物たちの戦いを、ポカンと見つめていた。
すると、次なる敵を探していたクマと、目が合う。
「ん、にゃろうっ、ヤル気か!」
ルフィが立ち上がって拳を構えると、クマは闘牛さながらに突進してきた。
「ゴムゴムのォっ、ピストル!」
超速で伸びた腕。
しかし、クマはその巨体からは想像もつかないほどの敏捷さで、ルフィの拳をよけた。
そのまま、ルフィ目掛けて腕を振る。
"ヒュォッ、バキッ"
「うわああぁぁぁっ!」
ルフィはジャングルの方へ飛ばされた。
「っ…くっ、そうだった、ここの動物はナメちゃいけねんだよな!」
近場の樹に左腕を巻きつけ、右手の親指を噛む。
「ギア・3rd! 骨風船!」
指に息を吹き込みながら、クマの方へと飛び出した。
「ゴムゴムのぉっ、巨人の銃!」
巨人族並みに巨大な拳が、クマ目掛けて飛んでいく。
クマは、思わずその場で立ち止まった。
そして逃げようとするも、遅く…
"ヒュォッ、バキィィッ!"
遥か彼方へ吹き飛ばされた。
そしてルフィは…
「ひはびぶべはぼぱぴはぺぼぱぁ〜!」
技の影響で、しぼんでいく風船さながら、空へ舞い上がっていく。
…やがて空気が抜けきると、重力に任せて落ちてきた。
"ボフンッ"
落ちた先は、先ほどカマキリにやられたタコの上。
「んにっ、ぷはぁ〜っ、危なかったぁ」
チョッパー並みに小さくなったルフィ。
「この技使うと小っちゃくなんのが厄介だなぁ。……んぉ、このタコ美味そーだ」
ちょうど小腹も空いてきたことだし。
ルフィは近場の小枝を拾い集め、焚き木をすることにした。
一方で。
「かなり古い遺跡ね」
「呑気に遺跡調査してる場合かよ」
「皆さん、無事ですかねぇ…」
ロビン、フランキー、ブルックは、幸いにも近くに落ちたため、3人一緒に行動していた。
"ズズン…ッ"
「おや? 何でしょう、今の音…」
言って、この辺りで一番立派な遺跡を見つめるブルック。
フランキーが鼻を鳴らした。
「知るかよ、オラ、さっさと行くぞ」
「えぇ、はい…」
ブルックは気になるのか、遺跡から目を離さない。
すると…
"カサカサカサカサ…"
小さな足音のようなものが聞こえてきた。
それも大量に。
やがて、その足音の正体が見えてくると、ブルックはあんぐりと口を開けた。
「ひぁぁあああっ!?」
「「!?」」
ロビンとフランキーが振り向く。
「ひいいぃぃっ」
ガクブル震えるブルックの正面には、アリのような小さな生き物の大群。
数百匹か数千匹いるであろうその大群は、まっすぐ三人の方へ向かってきた。
「今度はアリか!?」
「いやああっちょっと来ないでぇ!」
ブルックはその場で身を縮こませた。
しかし…
"シャカシャカシャカシャカ"
アリたちはブルックを素通り。
「……ぇ、アレ?」
「ちっ、狙いはこっちかよ!」
フランキーは左手をパカッと開けて、アリたちに風来砲を撃とうとした。
ロビンが冷静に訊く。
「フランキー、あなた燃料切れじゃなかったの?」
「ぁん? ……ぬぁっ、そうだった!」
と、そのとき。
"ザバァッ!"
近場の川から、巨大な魚が飛び出してきた。
フランキーとロビン目掛けて突進してくる。
「今度は何だっ」
2人はひと跳びして魚をよけた。
"ザバァッ"
魚は水に入ると、辺りを旋回し始める。
「もう一度来るわよ」
「ひぃぃっ、もう嫌ですこんなとこ〜!」
"ザバァッ!"
ロビンの予想通り、魚はもう一度飛び出してきた。
フランキーが舌打ちしながら拳を構える。
しかし…
"シャカシャカシャカシャカ"
アリたちの方が早く反応した。
大群は一斉に魚に飛びかかり…
"ガジガジガジガジガジッ!"
「「「 ! 」」」
アリの大群を通り抜けた魚は、見事に骨だけになっていた。
"ザパァ…ッ"
川に魚の残骸が浮かぶ。
それを見て、ブルックが一言。
「あ、一緒…」
「…フン、そういうことか。おいブルック」
「はい?」
「オメェが狙われねぇ理由が分かったぜ」
「理由?」
「オメェには、食える身がねぇ」
「あーそういう……って、ちょっと失礼じゃないですかぁ!?」
怒りで骨を赤く染めたブルックは、仕込み杖から剣を抜き、アリたちの方へ駆け出した。
"フォンッ、フォンッ"
風を切るような音を響かせた後、ブルックはゆったりと3歩歩く。
終わったな、と、フランキーとロビンは歩き出した。
"シャカシャカシャカシャカ"
アリたちは変わらず、フランキーとロビンを狙っている。
「鼻唄三丁…」
ブルックの剣が、杖の中に収められていく。
「矢筈切り!」
"チャキンッ"
"ズォォォォァァァァアアッ!"
アリ1匹1匹につけられた傷が、一斉に開いた。
アリたちは、フランキーとロビンを咀嚼することが叶わぬまま、絶命していく。
「…確かに骨張った私ですけど、今興味あることがあるんですよね」
「ぁん?」
「部分痩せ」
「……」
「……」
呆れ顔のフランキーと、無表情のロビンは、その場にブルックを残して、先へ進んだ…